第157話 ページ27
「ありがとうございます」
カップを受け取ってお礼を言うと、降谷は首をコテンと傾げて蘭さん達とお出かけなさらなくてよかったのですかと尋ねてくる。
「えぇまぁ連絡はくれてたみたいなんですけど私が気がつかなくて。今日はあまり持ってきてなかったので予定通り本読もうと思って」
お金の話はオブラートに包んで伝える。残念だがメールには本当に気がついていなかったので、手持ちはなんと二千円もない。
「アガサクリスティーですか」
「はい。ポアロにちなんで」
「でも読んでるのはマープルですよね?」
「あれ、バレちゃいました?」
「『パディントン発4時50分』僕も読んだ事があるので」
「そうなんですか!あっでもネタバレはダメですよ!!」
手でバツを作れば降谷はふわりと微笑んで了解です。と肩をすくめる。
(まーるで、別人だな)
笑いを通り越して尊敬すら覚えるその代わりみに敬服してコーヒーを啜る。
カップを置いてひっくり返していた本を再度手に取り読み始める。
「……………あの、そんなに似てるんですか?」
突然声をかけたものだから萩原はビクッと肩を反応させて視線を泳がせる。
無理もない、さっきまで本に熱中していた子が突然声をかけてきたらびっくりするに決まってる。
「……流石にその視線は本を読んでいても気がつきます」
「……………なんかごめんね?」
「いえ。むしろ興味が湧いてきました、その私に似てるって人。お話聞いても?」
本にしおりを挟んで萩原の方に体を向けると萩原は驚いたように目を丸め、松田の方に視線をやり、それから気まずそうに店内を見回し、私たちの他に客がいないことをちゃんと確認してから口を開いた。
「雪平Aって子で、俺たちと同期の子なんだ。でも三年くらい前から音信不通で。君とすごく顔が似てて」
「……なるほど。しかも下の名前まで一緒……」
「だからちょっと気になっちゃって」
「いえ全然。……そこまで似てますかね?」
「それはもう!瓜二つってくらいそっくり!」
「そうなんですか……三年前から音信不通…その方って警視庁にお勤め何ですか?」
「えっ、どうして?」
「あっいえ、ただ所属によっても変わってくるのかなって。ほら公安警察は絶対に家族にも打ち明けないとか聞きますし」
「……Aさん詳しいんですね」
どこからかトリプルフェイスも参戦してくる。
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黒木(プロフ) - 風野さん» 風野様、ご指摘ありがとうございます、すみませんアニメでは見ていても小説に平次くんを出したのは初めてで気付きませんでした!助かりました!!本当にありがとうございます。引き続きAPTX4869をよろしくお願いします!! (2019年8月18日 22時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
風野(プロフ) - 初コメ失礼します。初コメがこんな内容で申し訳ないのですが、平次くんの一人称はオレではないでしょうか?間違っていたら申し訳ありません!大好きなお話だけに気になってしまって、、いつも楽しく読ませてもらっています! (2019年8月18日 22時) (レス) id: b410b73e9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年7月26日 21時