第151話 ページ21
ごっくん。
コーヒーを嚥下する音が聴こえてきそうなくらい大きく喉仏が動くのをただ黙って見つめる。
彼、すなわち黒羽快斗から見受けられる感情は警戒。恐怖。不安。動揺。
どれもこれもマイナスばかり。
「………そこまで警戒されるととても言い出しにくい」
切実に。
黒羽快斗はギギギとブリキのように顔を上げる。
「あのさ、君絶対見当違いをしているから、どうせキッドと言われたくなかったら……とかそういう話になると思ってるんだろうけど」
どこからかポーカーフェイスだポーカーフェイス。と繰り返す空耳が聞こえる。気がする。
「……………違うのか?」
「いや、そうなんだけどそうじゃないというか……」
なんだろう。この感じ。白いバラを渡され告白ってことよねなんて言ってからかったのがいけなかったのだろうか。苦手な人認定されている気がしなくもない。
「えっとその。ちょっくらお願いがあってさ」
「……………おう」
警戒態勢を解かない黒羽快斗に、気を使うのが面倒になってきたので、色々とかなぐり捨てて単刀直入に言う。
「指紋手袋。譲ってほしくて」
「……えっ?」
「だから、指紋手袋。できれば同じ型のやつを五つくらい」
「えっと?」
わけわからんと首を傾げる黒羽快斗。無理もない。普通の高校生が指紋手袋なんて欲しがるはずもない。この犯罪臭プンプンの会話をする事になったのにはもちろん理由がある。
一昨日の夜組織に潜入している降谷と警察学校時代の同期が繋がりを持っていたとたまたま夜道に見かけて知ったのだ。
降谷だけなら接触するのもアリだが、よく考えたらポアロは警視庁の近くにあり、警官の松田萩原伊達が通うというリスクもある訳でそんな彼らと接触しもし指紋採取なんてされようものなら警視庁データベースの中にある雪平の指紋と一致してしまう。
この3人にバレるのは公安としてなしだ。
すぐに赤井に助言を求め、出た結論がこれだ。
キッドに秘密を話さないと約束する代わりに指紋手袋の支給を求める。
実に合理的ではないだろうか
出来れば彼とは仲良くしたかったのだがビビられているんじゃしょうがない。
残念だが脅迫してでも手に入れなくては。
そんなこんなで協力を求める。
彼は始終引きつった顔をしていたが無視だ。
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黒木(プロフ) - 風野さん» 風野様、ご指摘ありがとうございます、すみませんアニメでは見ていても小説に平次くんを出したのは初めてで気付きませんでした!助かりました!!本当にありがとうございます。引き続きAPTX4869をよろしくお願いします!! (2019年8月18日 22時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
風野(プロフ) - 初コメ失礼します。初コメがこんな内容で申し訳ないのですが、平次くんの一人称はオレではないでしょうか?間違っていたら申し訳ありません!大好きなお話だけに気になってしまって、、いつも楽しく読ませてもらっています! (2019年8月18日 22時) (レス) id: b410b73e9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年7月26日 21時