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「あれ、降谷なんで1人?」
放課後、特別区域の掃除から戻れば、降谷が教室で1人日誌を書いていた。
「小林さん、部活だから」
「ふ〜ん」
隣の席まで行ってカバンを取る。
「帰るのか」
「そうだけど?」
「じゃ、一緒に帰ろう、日誌ちょうど終わったんだ」
パタンと冊子を閉じて笑う降谷に成る程と頷く。
(確かにこれはモテるな)
サラサラの金髪は枝毛一本見当たらないし、青い目はガラス玉のように綺麗で、真っ直ぐな瞳をしている。加えて褐色の肌がなんとも男らしくて、神が作った彫刻のように神秘的な美しささえ感じられる。
「今日の本当は体調不良じゃないだろ」
下駄箱で屈みながら靴を取り出せば、頭上で降谷が尋ねてくる。
「本当だけど」
「じゃあなんの体調不良なんだよ、全然具合悪そうに見えなかった」
ちょっと不機嫌になった降谷はそんなことを呟く。
「別になんだってよくない?」
「良くない」
「なんで」
「日直は全員で回してるんだ、本当に体調不良じゃないなら自分のやるべきことはきちんとするべきだろ」
あぁ、そうかコイツ先生の覚えめでたき優等生ちゃんだったわとため息をつく。
(面倒臭いな)
「……代われって言われたんじゃないのか」
「………あーもうっ、だったら何?」
「なんでそんなことしたんだよ」
妙に突っかかってくる降谷に苛立ちを覚える。
「文武両道で優等生の?人望も厚くて完璧な降谷から説教?有難いわ〜」
「おい、そんな話してないだろ」
「だって関係ないでしょ。別に押し付けたわけでも、無理矢理代われと脅されたわけでもない。交換するってだけで、どうしてこんな責められなきゃなんないの?」
「それは…」
どもる降谷に、話を打ち切る。
「もうこの話は終わり!」
歩き出した私の後ろを降谷はうつむきながらついてくる。
「ふふ」
「なんだよ」
「いや、気まずくなったのに、帰るのは一緒なんだなって思って。てっきりそのままずんずん歩いて帰ってっちゃうかと思ったよ」
「………うるさい、たまたまだからな」
「ふ〜ん」
ちょっと頰が赤くなった降谷は可愛らしい。
中2は少しずつ大人に近づいて、情緒が不安定。異性と話すのも若干緊張を覚えるし、同性の嫉妬を受けないために人付き合いも注意しなくちゃいけない。
けど不思議と降谷はそれを感じさせない安心があった。
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Lailah(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです。テーマの作品2つにも納得が行きました。その後の話も見てみたかったですがこれはこれで良かったです。良き作品を見せてくれてありがとうございます。 (2021年7月5日 12時) (レス) id: 59f1e2127c (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - とても素敵な作品で、泣いてしまいました(笑)続きを作ってくださるのなら、楽しみにしています! (2021年5月6日 19時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
澪華 - ↓ごめんなさい誤字です。正しくは「楽しく読ませていただきました。」です。 (2020年11月23日 5時) (レス) id: e31bd2e13b (このIDを非表示/違反報告)
澪華 - とても素敵な作品で、楽しく読ませてました。これから二人はどうなるのか、続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年11月23日 5時) (レス) id: e31bd2e13b (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - とても素敵なお話でした。読むのが止まらずあっという間に読み終わってしまいました。 続きが読めるのを楽しみにしてます!! (2020年11月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪路 | 作成日時:2020年10月18日 0時