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sideY



「A」

細く細く、私は彼女の名前を呼んだ。







「違ったんだって」

私はどこか他人事のように切り出す。

「目が合うのは私の気のせいだったみたい」

こう言ったら、きっとAは私が振られたことを察してくれるだろう。彼女は眉根を寄せて少し苦しそうな顔をしてくれた。

そのおかげで私の胸につっかえていた何かが減ったような気がする。

「あーあーほんとうに好きだったのに…ほんっとうにっ、好きっだったのに………!!!」

掠れた自分の声が悲鳴のように空気を震わせた。
ボロボロと涙がこぼれ落ちて叫び出したいような衝動に駆られる。

ミーハーみたいな子だっているけど、私は本当に好きだったの。同じ小学校出身だから、小3の時から片思いだったの、本当に好きだったの

諸伏君はそれをちゃんとわかってくれていた上で、私にごめんとそう言った。

「悠……」

歪む視界でAがその綺麗な顔を歪ませて私を抱きしめた。

本人は気にしているけど、私からしたら羨ましい猫っ毛の柔らかい髪。目だって大きくて、白目のところが青く見えるくらい澄んでいて、ちゅんとした鼻とほのかに色づいた唇。

私がAみたいだったら振られるとなかったのかなぁ

そんな考えが過って、ますます涙が溢れて落ちる。

「なんで!なんでぇ……」

なんでも何もないっていうのに、ただ好きな人の好きな人になれなかっただけのこと。

私はAの腕の中で、自分の劣等感と失恋の痛みと彼女へした嫉妬の嫌味を吐き出すように泣き叫んだ。



(あの時大学生となんて無理って言ったの全部全部嫌がらせだったの、傷つけるってわかってたのに、可愛いアンタが羨ましかったの)

あぁこんな私だから諸伏君は好きになってくれなかったのかもしれない。
熱を持った瞼を閉じて、私はそんなことを思った。

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Lailah(プロフ) - めちゃくちゃ良かったです。テーマの作品2つにも納得が行きました。その後の話も見てみたかったですがこれはこれで良かったです。良き作品を見せてくれてありがとうございます。 (2021年7月5日 12時) (レス) id: 59f1e2127c (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - とても素敵な作品で、泣いてしまいました(笑)続きを作ってくださるのなら、楽しみにしています! (2021年5月6日 19時) (レス) id: 2fea210edb (このIDを非表示/違反報告)
澪華 - ↓ごめんなさい誤字です。正しくは「楽しく読ませていただきました。」です。 (2020年11月23日 5時) (レス) id: e31bd2e13b (このIDを非表示/違反報告)
澪華 - とても素敵な作品で、楽しく読ませてました。これから二人はどうなるのか、続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2020年11月23日 5時) (レス) id: e31bd2e13b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても素敵なお話でした。読むのが止まらずあっという間に読み終わってしまいました。 続きが読めるのを楽しみにしてます!! (2020年11月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雪路 | 作成日時:2020年10月18日 0時

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