APTX4869 ３【名探偵コナン】

第94話 ページ11

夜、天井へとを伸ばしながらベッドに深く体を沈める。






日本へ戻ったら本格的に計画を始める。




またあの人を殺す恐ろしい日々へと逆戻りするのだ。
その上今回は表の顔として高校生もやっていかなくてはならない。
確かに私のレベルは格段に上がっている。精神強化もした。
けれどどうにも、組織がどのようなものか知らずに潜入をした3年前とは違って今はあの組織がどれほどに黒く汚く恐ろしいかを知っている。


それはまるで高いところを知らない無知な者が紐もつけずに突き落とされ、一命を取り留めるも、再度同じ目に合わなくてはならないと言う事だ。

高いところから落ちると言う事を知らなかった時よりもトラウマは染み付いて数段恐怖が増す。





手が震えてしまった。
その手が真っ赤に染まった気がして、慌てて洗面所へ駆け込む。
何度も何度もよく洗って幻覚を落とす。
私の手にへばりついた赤は濃く黒く鮮やかに汚かった。

床にへたり込む。



ふと、視界に移った足首に青い宝石が煌めいていた。
蘭や園子と揃えたアンクレットだった。


何故だか無性に寂しく、温かく、心が安らいだ。



「2人に会いたい……普通になりたい」


ただ何も考えず2人と高校生として楽しく生きていけたらどんなに楽で幸せだろうか






《思うように生きろよ》


ふと、そんな言葉がこだまする。


諦めるのだって別に悪いことじゃねぇし必ずしも突き通してひたすらに走っていく事が正しい訳でもねぇ

お前が辛い苦しいって言うんなら、そうかなら辞めちまえって、逃げるの手伝ってやるよ




(あぁ………私はまた…………)


逃げ腰になっていた自分の頰を叩く。

(本当に逃げたくなったら松田のところに行けばいい。でもまだ頑張れるならやっぱり最後まで力を出し切った方がいいに決まってる)

「これは松田に会ったらお礼を言わなきゃね」

冗談を口の中で転がして、私は意を決してベッドの中に戻った。

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