APTX4869 ３【名探偵コナン】

第120話 ページ38

松田side




雪平は校門を出て少し行った表通りをかけていた。

「おいっ、待て雪平！雪平A！！」

ビクッと肩を震わせて立ち止まった雪平は俺の方じゃなくて傘をさした他校の2人組と見つめ合っていた。

小走りに近づくと、傘をさした2人の女は楽しそうに雪平に近寄る。

「雪平Aってやっぱ！！峰富士第3中のスカートちゃんでしょ！？」

(スカートちゃん？)

聞きなれないワード。けれど雪平はそれに強く反応して震える。

「ち、違う」

「えぇ、うっそぉ、だって英理奈から聞いてたもん。嘘つかないでよ、それで？今は？まだやってんの？」

「何そのスカートちゃんて、」

「この子のあだ名！けっこー有名だよ？でも、へぇふぅーん。青陵高校なんだ英理奈に教えとこ〜」

震えに耐えきれずどしゃりとその場に座り込む雪平。駆け寄って立たせると2人組は突然の俺の登場に目を丸くする。

「やっば超イケメンじゃん、スカートちゃんの彼氏？ね、知ってる？この子中学の時さぁ、スカート捲りされただけでビクビクしちゃうぶりっ子だったんだよ？今でもそう？この子ぶりっ子が酷すぎて周りから煙たがられてたのに、庇ってあげた優しい子がいてぇ、それがうちの友達の英理奈って子なんだけどぉ、この子結局英理奈の好きな人まで取っちゃったの！！ヤバくない！？守ってくれた子の好きな人とる普通〜」

「えっやばぁ」

「そんで、英理奈の友達が報復に、体育の時この子のスカート切ったから、この子のあだ名はスカートちゃん。ね？やばいっしょ？」

楽しそうに話す女の顔面を殴りたいのを堪えて、震える雪平を担ぐ。

「あぁ、やばいな。お前の頭も英理奈っつー女の男のセンスもやばいと思うぜ？」

はぁ！？と、怒鳴り散らす声が聞こえたが、それも雨のせいでちょっと離れれば搔き消える。

「お前あれのせいでどう転んでもぶりっ子にならない元気キャラでもやってたのか」

雪平は答えなかった。


校舎に戻ると、昇降口に俺のと自分のカバンを持って萩原が座っていた。が、俺を見るなり目を丸くして立ち上がる。

「えっ、何その担ぎ方！？てかビショビショじゃんタオル貰ってくる！！」

かけて行った萩原が先ほどまで座っていたところに雪平を下ろす。

名前を呼ぶと雪平はわずかに震えた。

俯いたままの姿勢で顔を上げようとしないので、無理に顔を上向かせる。
雪平の顔は涙と雨で酷いことになっていた。



「………嫌いになった？」

か細い声が問う。

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