第85話 ページ49
「……………だから、よく考えておけよ」
「はい、わかりました。失礼します」
一礼して職員室を後にする。廊下を少しいくと後ろから声をかけられた。
「あれ、A」
「!蘭。ちょうどだし一緒に教室戻ろ」
私と蘭は肩を並べて階段を上る。
「もうすっかり冬だよね」
「それな、秋があっという間だった…」
「………」
「?蘭」
突然驚いた顔をして固まった蘭に首をかしげる。
「あっ、いやAもそれなとか使うんだって思って」
そう言われて心臓が一気に冷える。女子高校生っぽく振る舞おうと、この間前を歩いてた女の子が使っていた言葉を真似てみたのだ。
(使い方間違えた?いやでも、同意を示す言葉だったはず…)
「なんかAって出会った時もクールな感じで言葉遣いとかもしっかりしてるから、砕けた言葉も使うんだなって」
そう言われてホッと息を吐く。
「そりゃ、私だって"花の女子高校生"だし?」
この間園子が熱弁していたのを思い出して引用する。蘭もそれに気がついてクスクス笑った。
「職員室なんかあったの?」
「えっ?」
「あっいや、優等生のAが先生に呼び出されるのって珍しいから」
「あぁ、なんかこれからの進路で私の成績を見越して留学を先生に勧められて」
「留学…」
反芻するようにつぶやく蘭はバッと交換音が付きそうな勢いで私を見つめる。
「それって凄いことにだよね!!」
嬉しそうな顔をする蘭はそう言ってすぐハッとしたように瞳を揺らした。
「でもそれ日本を離れるってことだよね?」
「………まぁそうなる。せっかく蘭や園子ついでに工藤と友達になれたのに離れるのが嫌だからちょっと悩んでて……」
(嘘こけ)
サラリと嘘を口から吐く自分に嫌気がさすも、悟られないよう学生らしく振舞う。
「そう、なんだ………私も寂しい!!」
そう言って蘭は私の手を掴む。
「でも、絶対行った方がAのためになると思う!」
蘭の目はすごく真剣で私は久しぶりに自分のために考えてくれる相手に心が揺れた。
「…………ありがと、私行ってみようかな」
「……いつから行くの?」
「高2になったら3ヶ月くらい」
「そっか……」
こうして私の留学は決定した。
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黒木(プロフ) - 涙凪さん» 涙凪様、ありがとうございます。やる気湧きました週末までには更新させて頂きます。頑張ります。 (2019年6月20日 21時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
涙凪(プロフ) - 頼む!続いてくれ!感動するほど面白い。更新頑張って! (2019年6月18日 22時) (レス) id: df4ede43e0 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» 夢主の潜入スキルみたいなのを出したかったのですが、やり過ぎてしまいましたかね(;´Д`)早急に話を進めて日常に戻します! (2019年4月21日 22時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 黒木さん» 夢主、何か怖いです。ヤクザの内部から壊すんだろうけど……読んでいくと怖くなってきてしまいました (2019年4月21日 21時) (レス) id: d271bd57c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - iqqvyuuさん» iqqvyuu様、ありがとうございます! (2019年3月22日 23時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2019年2月20日 21時