第54話 ページ13
「それで甘い匂いのする何かを調べて欲しいって？」
「………うん」
パソコンから視線を私へ移したウェルベンが真顔を歪ませてため息をつく。
「その顔は分かってるんだな」
「はい………」
「だがあえて言わせてもらう。情報が少ない。いくら俺でも甘い匂いというヒント１つで突き止めることは無理だ。それが液体なのか固体なのか。固体ならば砕けるものか。食せるものか否か。それすら分からないか？」
膝の上に置いた腕を組んで背もたれに寄りかかったウェルベンはしばらく私の顔を見つめて眉を動かす。
「この8ヶ月間君にはあらゆるものを与えてきた。それは知識であったり、技術であったり、丈夫な身体になれる方法だったり、君が気づいていないつもりでも、君の体が感じ取っている情報が、君の脳の中にあるはずだ。思い出せ。…………記憶をネガフィルムのようにして探すんだ」
少し変わった空気に、授業が始まったのだと感じ取って目を瞑る。
「………最近のジェシカは物忘れが酷いように感じる。もとからおっちょこちょいだったけど、最近は何を忘れたのかすら思い出せない感じ。それから……すぐ怒るわ。図書室で消しゴムを使った誰かが机を揺らしたのだけど
、大きな舌打ちをして………感情の起伏が激しいの。そうやって感情を露わにしたあと、そんな自分のことを恥じて自己嫌悪になっている…………」
目を開けるとウェルベンはしっかりと頷いてよくやったと言ってくれた。
「君の体は君が思うよりもずっと多くのものを感じて記憶し進化している。これからはもっとそれを活用できるようにトレーニングしよう」
そういってパソコンへ視線をもどし、私に告げる。
「恐らくドラックだな。甘い匂いなら大麻だろう」
「ジェシカが大麻………！？」
「本人じゃなくても家族の誰かが至近距離でしているという可能性も切れない。手伝うか？」
「…………いい」
ウェルベンがそうかと頷くので、答えるようにして強く発言する。
「私自分がどこまで変わったかを試したい。自分でやってみるわ」
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黒木(プロフ) - 涙凪さん» 涙凪様、ありがとうございます。やる気湧きました週末までには更新させて頂きます。頑張ります。 (2019年6月20日 21時) (
レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
涙凪(プロフ) - 頼む！続いてくれ！感動するほど面白い。更新頑張って！ (2019年6月18日 22時) (レス) id: df4ede43e0 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - 新玲乃音元iqqvyuuさん» 夢主の潜入スキルみたいなのを出したかったのですが、やり過ぎてしまいましたかね(；´Д｀)早急に話を進めて日常に戻します！ (2019年4月21日 22時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
新玲乃音元iqqvyuu(プロフ) - 黒木さん» 夢主、何か怖いです。ヤクザの内部から壊すんだろうけど……読んでいくと怖くなってきてしまいました (2019年4月21日 21時) (レス) id: d271bd57c6 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - iqqvyuuさん» iqqvyuu様、ありがとうございます！ (2019年3月22日 23時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒木 | 作成日時：2019年2月20日 21時
