APTX4869 7 【名探偵コナン】

第266話 ページ7

お昼休みまであと10分というところ、教室の外に学年主任が現れて、授業担当の先生に目くばせする。クラスメイトはなんだなんだとお互いに目を合わせ、授業担当の先生が廊下に出て行った後険しい顔で教室に頭だけ出して私を見つめた。

「来栖、荷物をまとめて校門に向かいなさい」

「え」

「事情は石田先生が話してくださいますから、早く」

催促されて戸惑いながら荷物をまとめる。蘭や園子、真純が目で問うてくるが私にもさっぱりなので首を振って肩をすくめた。



廊下に出ると石田先生が早歩きで歩き始める私はその後を追いながら何があったのかと声をかけた。


「落ち着いて聞きなさい、先程お母様から連絡がありました。お父様が事故に遭われたそうです」

「え」

「お母様の希望で間に合わなくていいから一度アメリカに戻ってきて欲しいと電話がありました。タクシーを呼んであります。貴方が実際にアメリカへ行く行かないはお母様と話し合って決めなさい。直行便は最短で13時40分のフライトがあります」

差し出されたクリアファイルには飛行機の時刻表が印刷されたプリントが入っていた。プリントはまだ温かい。

表から顔を上げると先生は白封筒をそっと私に差し出す。

「チケット代です。来栖さんなら不義理なことはしないだろうと先生方が協力してくださいました」

「あ、え、」

「気をつけていきなさい」

下駄箱までついてしまったので慌ててローファーを取り出す。

「あの、」

「はい」

「あの、ありがとうございます」

「いいえ、さ、ほら」

促されてまた小走りで校門へ行く。タクシーの扉を開けられて押し込められるように乗り込めば何かを言う前に扉を閉められた。先生はすっかり見送り態勢なので、私は頭を小さく下げて、運転手さんに告げた。


「あの、けいし…あ、いや、杯戸町までお願いします」

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