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第29話 ページ31

翌日。
授業の準備に一区切りついて、伸びをする。
相変わらず忙しい通知を眺め、その連絡先を1つずつ消していく。

(これは全部私の価値を証明してくれる男たちの連絡先。いつだって替えがきくからもう要らないか)

あ行から消していくと必然的に現れる安室透。

「……ポアロに行こ」


なにを思ってかそう思い立って、出かける支度を始める。





「いらっしゃいませ」

「カウンターでお願いします」

「かしこまりました!」

可愛らしい店員さんに注文をして、望んだ席に腰掛ける。
店内は思っていたよりも空いていて、お昼時が過ぎたからかなと勝手に推測する。

「アイスティーです、どうぞ」

「ありがとう」

店内に安室さんの影はなく、持ってきた本を開いて、小さくため息をつく。

「Aさん!!」

一行読むか読まないか、読み始めてすぐのところでコナン君に声をかけられた。

「コナン君…また会ったね、こんにちは」

「こんにちは、ねっ、この間のこと聞いていい?」

「この間って?」

「車から出てきた時の!」

「あぁ、それの何が知りたいの?」

問えばええっと、少し聞くのに躊躇って、コナン君は丁寧に紡ぎ出す。

「この間の車に乗ってた知り合いっていってた人、何してる人か知ってる?」

随分と思い切ったなと感心する。

「知らないって言ったら嘘になる。…かな」

「それって「じゃあ、今度は私から質問、……どうしてコナン君がそんなことを気にするの?」」

「………」

コナン君は私をしばらく睨むようにして見つめる。

「工藤新一って知ってる?」

「、知ってるよ。有名な高校生探偵でしょ」

「新一兄ちゃんは僕の親戚なんだけど、前にそいつらに襲われたことがあるんだ。……だから危ないって言ってて」

「……なるほど。それで、その問題の新一君は?」

「今は事件を追って海外にいるよ!」

「そ、」

短く息を吐く。

「安心して、その組織とやらに私は全然関与してないし、もう知りたいことは知れたし、たまたまバーで隣り合ったってだけだから」

これからも関わることはないと思うわ。と説明すれば、コナン君はわかったと頷く。

「あっさり信じるんだね」

「まぁね」

「どうして?」

「…えーと、僕小1だからAさんが言ってることよくわかんなーい」

途端に適正年齢まで態度が若年化したコナン君に絶句する。

(…そっか、この子小1だったわ)

妙に納得してしまい、私はそれ以上をコナン君には問わなかった。

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あふらん(プロフ) - すごく面白いです!夢主の性格が本当に好きです。もしかしてクズの本懐知ってますか?意識されてる様なところがあった気がしたので、もしかしたらと思いました。違ったらごめんなさい! (2019年3月28日 12時) (レス) id: d39cf90419 (このIDを非表示/違反報告)
黒木朔(プロフ) - バニラさん» バニラ様、メッセージありがとうございます。うわ、本当に、お恥ずかしい。早急に修正させていただきます!本当にありがとうございます!! (2019年1月3日 10時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
バニラ(プロフ) - 論理ではなく倫理じゃないでしょうか (2019年1月3日 1時) (レス) id: f20c080281 (このIDを非表示/違反報告)
黒木朔(プロフ) - ハク様、メッセージありがとうございます。嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2018年12月31日 19時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハク - とても面白い作品で一気読みしてしまいました!応援してます♪ (2018年12月31日 18時) (レス) id: 6941855deb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒木 | 作成日時:2018年12月30日 17時

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