私が一番欲しいもの【安室透】

第17話 ページ19

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ぷかぷか膨らんだり萎んだり、水中を行き来する透明な生き物を眺めるふりをして、横目で安室さんを盗み見る。

今日の彼は一段と魅力的だ。
水族館は全体的に暗く、青く光っているので、彼の金髪も必然的に暗く輝く。
水槽の光が不規則に差し込み、神秘的な美を作り出すのだ。

(女より男が綺麗でどうするのよ)

ここに来るまでにも、レストラン、映画、本屋、ショッピング。様々なデートを繰り返し、楽しい思い出をもらっている。

けれど彼はいっこうに手を出さない。
こうして健全デートを重ね、遅くても23時には家へ返される。

(高校生かっつーの)

いや、今時なら高校生でもしてるわ。
まさかED？だとしたら勿体なさすぎる。

どうしてこんなにむしゃくしゃするのか、私とこんなにデートしているのにいっこうに手を出さないこと？
それよりも、安室さんは私のこと好きなんだっけ？……多分違うな。
じゃ、どうして誘うの？

(訳がわからない)

そしてむしゃくしゃする理由その2。
それは、手を出さない彼に対して私がむしゃくしゃしているということ。

(これじゃまるで私が求めてるみたいじゃない…)

一歩引いて私を優先してくれるように振舞っておきながら、結局は彼の思惑通り。という展開が多い。

(なんか掌の上で転がされている気分)

「Aさん？」

いつのまにか、横目に見ていることを忘れて彼を凝視してしまっていたらしい。
彼は僕の顔に何か付いていますかと、首をかしげる。

「あっ、もしかしてつまらなかっ「次はペンギンを見ます」」

「はい、ペンギンですね」

そう、こういうところ！
私の気なんて知りもしないで安室さんは頰を人差し指で掻きながら微笑む。

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