第13話 ページ15
「あっAお姉さん!」
喫茶ポアロでその日も美味しく紅茶をいただいていると、この間の少年が可愛らしい笑みを浮かべて私に走りよった。
「…」
(名前なんだっけ)
「…コナンだよ!」
(そうだコナン君だ)
「ごめんね、今日で必ず覚えるね」
そう言って隣の椅子を引く。
「Aお姉さんは…な、なに?」
椅子に腰掛けて話始めるコナンくんを見つめる。
「その、お姉さんっていうの、恥ずかしいから外してもらってもいいかな?」
「へ?あ、じゃAさん?」
「そう、それでお願い」
わかった!と言って頷くコナン君の頭を思わず撫でる。
あれから安室さんにどこかへ誘われる事はなくなった。喫茶店に来ては挨拶を交わし、世間話をする仲へと戻ったくらい。
余程プライベートに踏み込まれたくない人種なのか仕事人間なのか、私が彼の偽名を知った時点でこの遊びに出かけるだけの不思議な関係は終わりを告げていたのかもしれない。
カウンターの奥で作業をしている安室さんを、眺める。
(…あ、隈発見)
綺麗な目の下に少し隈が出来ているのを見つける。
「Aさんは、安室さんのことが気になるの?」
不意に横からコナン君に尋ねられた。
「どうして?」
紅茶を飲みながら聞き返す。
「いや、だって今安室さんのこと見てたから…」
そう言われると思わず悪戯したくなる。
私はコナン君をじぃっと見つめていつものように微笑む。
「見つめていると、その人のことが気になっている、ってことになるの?」
「えっと、それは…」
「………ふふ、冗談。たしかに安室さんの顔は綺麗だけど、好きではないかな?」
そう答えると、コナン君はみるみる顔を赤くして片言で
「ソ…ッカ」
と呟く。
「へぇ、僕の顔、綺麗だと思ってくださってるんですか?」
先程までカウンターの奥にいたはずの安室さんがいつのまにか目の前に現れる。
「はい、世でいうイケメンかと」
そう答えると安室さんはしばらく固まって
「顔だけですか?」
と、少ししょげた風に首を傾げる。
「うーん、だって私、安室さんのことそんなに知りませんから」
ちょっと挑発するように返せば、安室さんはいつもの貼り付けた笑みを浮かべて
「じゃ、僕のことたくさん知ってもらえるように頑張りますね!」
と、宣言される。
まずはどこか出かけましょうと計画を立て出す安室さんに少し慌てる。
え、ちょっと待って、_______は?
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あふらん(プロフ) - すごく面白いです!夢主の性格が本当に好きです。もしかしてクズの本懐知ってますか?意識されてる様なところがあった気がしたので、もしかしたらと思いました。違ったらごめんなさい! (2019年3月28日 12時) (レス) id: d39cf90419 (このIDを非表示/違反報告)
黒木朔(プロフ) - バニラさん» バニラ様、メッセージありがとうございます。うわ、本当に、お恥ずかしい。早急に修正させていただきます!本当にありがとうございます!! (2019年1月3日 10時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
バニラ(プロフ) - 論理ではなく倫理じゃないでしょうか (2019年1月3日 1時) (レス) id: f20c080281 (このIDを非表示/違反報告)
黒木朔(プロフ) - ハク様、メッセージありがとうございます。嬉しいです!これからもよろしくお願いします!! (2018年12月31日 19時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
ハク - とても面白い作品で一気読みしてしまいました!応援してます♪ (2018年12月31日 18時) (レス) id: 6941855deb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2018年12月30日 17時