第54話 ページ6
「Aさん大丈夫ですか?」
次郎吉さんに宝石をお返しした後、安室さんが自らの上着を肩にかけてくれる。
「あ、安室さん…大丈夫です。…あの、先刻は助けていただき、ありがとうございました。お礼もできず立ち去ってしまってすみません」
「いえ、気にしないでください。驚くのも無理ありませんから、あぁいうことはしょっちゅうあるんですか?」
あぁいうこと?安室さんのさすことがどういうことかよくわからないが、取り敢えず、詐欺とか勧誘のことかなと首を振る。
「そんなに騙されるような顔してますかね?テレビで注意するようにという警告はたまに見ますが、実際に自分がされたのは初めてで…」
「…?」
あれ、伝わってない?
「えっと、詐欺とか勧誘のことですよね?」
「詐欺…」
「はい、」
至極真面目に伝えたつもりが、力強く頷いた途端、安室さんは笑いだしてしまった。
「ははっAさん先程のは詐欺ではありませんよ」
「え…」
「Aさんが今夜は一層綺麗だから、声をかけられたんですよ」
「えぇ!?いや、まさか」
「いえ、Aさんはいつも綺麗ですよ。その指輪の相手が羨ましいくらいに」
瞬間指先が凍る気がした。
この指輪の相手はあんたでしょと怒鳴りたい衝動に駆られる。
それとともに悲しくてツンと鼻先が痛くなった。
「安室さんは、…お世辞が上手ですね」
声が震えないように気をつけながら話す。送りますよと安室さんは笑いながら私を自慢のRX-7に乗せる。
零、好きだよ。貴方はもう、私を過去の女だと言えるようになっちゃった?
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黒木(プロフ) - nanakoneko775さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけたのなら幸いです。 (2019年8月18日 18時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
nanakoneko775(プロフ) - はじめまして、とても素敵な作品でした。君が代の現代語訳と物語がほんとにマッチしていて最高な作品でした。 (2019年8月18日 12時) (レス) id: 6f70dc1dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - アキさん» アキ様ありがとうございます!!至急訂正させていただきます!! (2019年8月13日 16時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - とっても素敵な作品でした。94話の最後の『再開』は『再会』ですよ。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 99c22898e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - さちさん» さち様、ありがとうございます!今はAPTX4869【名探偵コナン】という作品を連載させていただいているので、是非読んでいただけたら嬉しいです。 (2019年2月16日 11時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2018年12月12日 12時