最終話 ページ47
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あれから何年経ったか、壁に飾られた花束の絵がもういっぱいいっぱいで今日で六枚目のモデルとなる花束が届くのだろうが、どこに飾ろうかと今から思案する。
それにしても遅いなと19:00を指す時計を確認してから、もしかして日付けを間違えているのかもと、カレンダーに目をやる。その時、ガチャリと玄関から鍵の開く音がして、不思議と背筋が伸びた。
まさか…まさか…
玄関へ急げば、ガチャッと扉が開いて、私の愛しい愛しい人が姿を現わす。
「ただいま」
少し気恥ずかしそうに、少しためらいがちに、大いに嬉しそうにその人は私へと笑いかける。
「おかえりなさい」
いつも通り、いつも通りと装うとする心に反して体は彼の腕の中へ飛びつく。
「あぁ、本当にただいま」
バタンと勢い良く扉が閉まり、彼は私に答えるように抱きしめ返してくれる。
あぁ!やっと!!私は彼の存在を確認するように、彼の胸板にグリグリと頭をこすりつければ、彼は笑いながら私を抱き上げて、リビングまで運ぶ。
1年と数ヶ月ぶりに見る彼はやっぱりかっこよくて、見惚れてしまうものの、雑念を払って、しっかり彼と向き合う。
「全部終わった。危険具合はましになっても、相変わらず忙しいだろうし、何日も家を開けることにもなると思う。それでも俺はお前にそばにいて欲しい。お前が欲しい。Aを愛してる。好きだ。こんな俺のそばにこれからも居てくれますか?」
零の綺麗な舛花色が私をとらえて離さない。
彼はやっぱり今年も百合の花束を私に差し出す。
「喜んで」
そうだね。きっと君はこれからも幾度となく危ない目にあって、私の肝を冷やし、私に寂しい思いにさせるんだろうね。
でもそんなことだって愛に思えるよ。
あなたが居ない灰色の世界なんかより、あなたで胸がいっぱいになって苦しい世界の方がずっといい。
だから、一年経つたびに貴方はこの花束を抱えて私のところにやって来て。そしたら私はかわらず貴方を抱きしめるから。
そうやって私はあなたの隣を歩いていくから
__あなたとの愛を口ずさみながら
. おわり
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黒木(プロフ) - nanakoneko775さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけたのなら幸いです。 (2019年8月18日 18時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
nanakoneko775(プロフ) - はじめまして、とても素敵な作品でした。君が代の現代語訳と物語がほんとにマッチしていて最高な作品でした。 (2019年8月18日 12時) (レス) id: 6f70dc1dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - アキさん» アキ様ありがとうございます!!至急訂正させていただきます!! (2019年8月13日 16時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - とっても素敵な作品でした。94話の最後の『再開』は『再会』ですよ。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 99c22898e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - さちさん» さち様、ありがとうございます!今はAPTX4869【名探偵コナン】という作品を連載させていただいているので、是非読んでいただけたら嬉しいです。 (2019年2月16日 11時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2018年12月12日 12時