未亡人は口ずさむ 2【降谷零】

第90話 ページ42

コナンside



12月11日、午前2時16分57秒。
あの日、黒ずくめの組織の幹部であるジンとウォッカを捉える作戦は 83.2%と高確率で成功するはずだった。
こちらだけが相手の行動範囲と動向を知り、逃げられたとしても国道周辺の逃げ込める建物は全て番号を振って把握済みであった。
にも関わらず、追い詰める前にB-17は爆破され、ジンとウォッカを捉えることはおろか殲滅させることも出来なかった。




病室は窓を開けているおかげで心地よい風が吹きぬける。
最近では生花はあまり良くないと言われているせいか、ドライフラワーが飾られていた。


あれからAさんは眠り続けたまま、目覚めない。


爆破後に傷だらけの安室さんに抱えられて建物から現れたAさんが負傷していた右足も、もうすでに完治している。
Aさんが眠っている間に、あむろ…いや、降谷さんが守るこの国でも色々な出来事が起こった。



病室の中央の真っ白なベッドの上で眠り姫のように動かないAさんを見つめる。

カタッ

扉の振動がわずかに聴こえて振り返れば安室さんがいつものように少し俯いて立っていた。

「…安室さん……腕はもう大丈夫なの？」

「あぁ大丈夫さ、このくらいすぐ治る」

安室さんは眉を八の字にして小さく笑った。
数日前にガラス片によって傷を負った彼はもう大丈夫だというよに左手を振ってみせる。

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