第80話 ページ32
ベルモットが去ったあと、私はベッドから降りて部屋を物色して回った。
はじめに案内された場所は、私がハッカーを引き受けた時に与えられる手はずだった部屋だろう。
この部屋にはスパコンはおろかパソコンをはじめとする電子機器は一切置かれておらず、
拘束ベルト付きのベッドと、サイドテーブル、古典的な本が並べられた棚くらいしか見当たらない。
唯一の出入り口である扉は、料理を通せるほどの小さな蓋つきの穴があるのみ。
隣に部屋があるのかと開けて見れば、ただのトイレで、汚いことに換気扇は見当たらない。まぁ、そこから脱出されないためなのだろう。かわりに監視カメラは一台も設置されていない。
(盗聴器類も見当たらないし、本当に頭だけ抉られて捨てられるのかも)
窓も時計もないせいで、時間を正確に測れない。
(気が狂いそう……けど、もとから長期滞在を見込んだ作りはしていない。移動って言ってたから、実験所はまた別のところにあるのかな)
ベッドに腰掛け、ため息をつく。
(コナン君気づいてくれたかな?気づくよね。零に私が知ってる事教えちゃったかな?教えちゃっただろうな)
あれからどれほど時間が経ったか、1度目の料理が運ばれて来て、扉についている小さな穴から差し出された時、相手の手をめいいっぱい引っ張って時計を確認したところ19時24分と示されており、次の配膳まで約11〜12時間ほど間が空くなと予想する。
本棚を見やれば置かれている本は14冊で、厚さにばらつきがあるもののこれらを読み終わる頃に次の配膳だなと踏んで、1冊手に取る。
読書は嫌いでない、ただ作業的に本を読むとなると少し堪えるなと苦笑しながら活字を追う。
まだまだ夜は長くなりそうだ。
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黒木(プロフ) - nanakoneko775さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけたのなら幸いです。 (2019年8月18日 18時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
nanakoneko775(プロフ) - はじめまして、とても素敵な作品でした。君が代の現代語訳と物語がほんとにマッチしていて最高な作品でした。 (2019年8月18日 12時) (レス) id: 6f70dc1dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - アキさん» アキ様ありがとうございます!!至急訂正させていただきます!! (2019年8月13日 16時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - とっても素敵な作品でした。94話の最後の『再開』は『再会』ですよ。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 99c22898e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - さちさん» さち様、ありがとうございます!今はAPTX4869【名探偵コナン】という作品を連載させていただいているので、是非読んでいただけたら嬉しいです。 (2019年2月16日 11時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2018年12月12日 12時