第69話 ページ21
首を振って少し笑えば、安室さんは小さく息を吐いて
「今晩デートなんですよね。楽しんできてください」
と、微笑んだ。
「……」
「前の旦那さんのことを噂で聞きました。今度こそお幸せに」
屈託のない、けれど貼り付けたような笑みが彼から私を突き放す。
「…それ、本気で言っているんですか?」
「はい。Aさんはポアロの大事なお客様ですから」
「前の主人を忘れて幸せになれと?」
「…そうとは、言ってはいませんが「そういう事でしょう?」」
私は安室さんから目をそらさずに続ける。
「忘れられないまま誰かを好きになったら、その誰かが可哀想だから。心にいる忘れられない人を、捨てろってことでしょう?」
安室さんは苦い顔をして私から目をそらす。
「…そういうように感じられたならきっとそういうことなんでしょう」
「…なるほど。意見ありがとうございます」
私は一気にコーヒーを飲み干して立ち上がる。
「ご馳走さまでした。お代はここに置いておきます。それから、私が生涯で愛する人は1人だけです
。生憎その席はもう6年前に埋まってしまいました。…私と安室さんは考え方が違うみたいですね。失礼します」
面食らった顔をする安室さんを軽く睨んで店を後にする。
なぁーにが他の人と幸せになれだ。思ってもないこと言うなっつーの!!
「零のばぁーーか!!」
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黒木(プロフ) - nanakoneko775さん» コメントありがとうございます!楽しんでいただけたのなら幸いです。 (2019年8月18日 18時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
nanakoneko775(プロフ) - はじめまして、とても素敵な作品でした。君が代の現代語訳と物語がほんとにマッチしていて最高な作品でした。 (2019年8月18日 12時) (レス) id: 6f70dc1dd3 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - アキさん» アキ様ありがとうございます!!至急訂正させていただきます!! (2019年8月13日 16時) (レス) id: 0488b133c6 (このIDを非表示/違反報告)
アキ - とっても素敵な作品でした。94話の最後の『再開』は『再会』ですよ。 (2019年8月13日 11時) (レス) id: 99c22898e6 (このIDを非表示/違反報告)
黒木(プロフ) - さちさん» さち様、ありがとうございます!今はAPTX4869【名探偵コナン】という作品を連載させていただいているので、是非読んでいただけたら嬉しいです。 (2019年2月16日 11時) (レス) id: 1361aa9fb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒木 | 作成日時:2018年12月12日 12時