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13日目 ページ13

「Aさんは、可笑しいと思わないんですか?」

『…何が?』

「幹部の皆さんのことですよ、あれだけ溺愛されてて、告白の1つや2つ、受けたことあるでしょう?」

『…そういうのは、恥ずかしいから』


無理矢理な笑顔も綺麗だが、ここまで彼女を悩ませる彼らに湧き上がる嫌悪を抑えられそうにない。
告白なんてものじゃない、求婚でもされたのだろうか。
しかし、この国には一妻多夫制なんてものはないし、彼女が誰かとそれほど親しげにしていたのは見たことがない。
未婚であると思って良さそうだ。


「…可笑しいって、本当に思いませんか」

『…何のこと?』


苦しそうな顔で何かを訴えられるが、残念ながら、その意図は汲み取れない。
でもどうしてか、その顔がどんな顔よりも綺麗に見えた。
ついつい、見惚れて、唇を寄せようとしてしまうが、後ろから呼びかけてきたとある人物によって、それは阻止された。


「A」

『…どうしたの、ロボロ』

「いやなぁ、女の推薦入隊がおる聞いてな、挨拶がてら、一目見たいと思っててん」


隠す気などさらさらないのか、首元のヘッドホンから、今の会話が聞こえてくる。
この人か、あの監視カメラや彼女の服に仕掛けられている盗聴器の犯人は。
その人を、彼女にバレぬように睨みつけるが、相手のロボロという低身長の男は、笑みを崩さず、濁った目で見つめ返すだけだった。


「ってのは嘘で、Aに会いたかってん」

『っ…』

「…何やねん、つれへんなぁ」

『時と場所をわきまえて…』

「顔赤いで、かわええなぁ」


自然な、あたかも、本当にただただすれ違うだけかのような動きに、その行動を阻止することができなかった。
さすが軍人と言うべきか。
しかし、何よりも、彼女の頰の赤みと、さっきの発言がきになる。
まるで、キス自体は別にされてもいい、というような言い草だった。
この人が、彼女の心に決めた人とやらなのだろうか。
それにしては、ゾムさん達と話す時と何ら変わりはない。
それに、隣に私がいるにも関わらず、彼女にキスしようとしてきたような男だ。
警戒が必要だ。


「一日中ブルーライト浴びとると目疲れんねん、でも、A見たら癒されたわ」

『…そう』

「じゃあまた後で、夜、待っとるから」

『…うん』


彼女の返事を聞くなり、男は楽しそうに鼻歌を歌いながら去って行った。

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ぱずる(プロフ) - 感動してボロボロ泣きましたwなんと言えばいいのか分かりませんが、とても素敵なお話でした。面白かったです!! (2021年4月30日 1時) (レス) id: 6fda5d1ca9 (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - みみみさん» コメントありがとうございます。返信が遅くなってしまい申し訳ありません!書き終えてから少し走り気味だったかもと反省していた部分があったので、好きという言葉をいただけて本当に嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
そういろね(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます。返事が遅くなってしまい申し訳ありません!走りが気になってしまった部分もあり少し心残りのある作品だったので、そう言っていただけると嬉しいです!他の作品もよろしければ見てやってください。 (2020年3月6日 0時) (レス) id: 3979da825c (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - やっと見つけました! 本当に好きです! (2020年2月16日 17時) (レス) id: a3e96579f7 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 初コメ失礼します…?感想っていうか…この話本当に好きです。他のどんな話よりも。本当に。作者さんに尊敬の花束を。 わたあめ(語彙力溶けた) (2019年7月31日 11時) (レス) id: 058dc021e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月9日 19時

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