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『鬱、ちょっとした緊急事態やで』

「なに、どっか怪我したん?」

『ううん、怪我はしてへんねんけど、布団、予備ないって』

「…ああ、ほんま」

『反応薄いなぁ…もう少し驚いてもええんちゃう?』

「わぁほんまに!どないしよぉ、俺今日寝れへんわぁ!」

『…よう頑張ったな』


目の前で大袈裟にリアクションされて、それがまあ気持ち悪かったので、取り敢えず褒めておいた。
鬱はそんなノリが慣れてるのか、私の反応を見てニコニコと笑った。
鬱の隣に座れば、少しだけベッドが沈んだ。


『昔な、ほんまはピンクの方が好きやってん、それも、キラキラフリフリしとったら特にな』

「あ、そうなん」

『でもなぁ、なんでやろ、鬱の真似っこしとったら、自然と青色の方が好きになっててん』

「…」

『それもな、うーんと地味なやつ、好きになっててん』


鬱のこと見てたら、いつも青色が目に入って。
手に取るものも、目に入るものも、どんどん青色になっていって。
興味なくても、他のいい色合いのがあっても、最後に手に取るのは、結局青色。


「俺、青色好きやもん」

『うちも、今は青色が好き、1番』

「誰の口車なん?」

『…残念、誰にも乗せられてへんねん』


悪戯っ子になったように、してやったりと胸を張ると、静かにキスをされた。
私の顔が驚いたような顔に変わったのを見て、今度は鬱してやったりと笑うのだ。
キスは嬉しいが、何処かもんもんと募る不満を呟いた。


『…鬱ってキス魔なん?』

「何で?」

『だって、いっぱいしてくんねんもん、心臓もたへんわ…』

「Aがちゅーもぎゅーもしたい言うたんやで?」

『それは…鬱もやろ…』

「せやねん、お互い様やで」


お互い様なのかどうかはわからないが、鬱が嬉しそうにニコニコと笑うので、悔しくて、今度はこちらからキスをしてやった。
顔を離せばほんのりと赤く染まった頰と、鋭い目に胸が高鳴る。
するすると、鬱の手が私の手に重なって、ゆっくり絡められる。
その動作が小っ恥ずかしくて、下唇を噛んで俯いた。


「Aやって、満更でもないやろ」

『…ちゃうもん』

「照れ屋さんやな」

『鬱やって顔真っ赤やん』

「男は狼やからな」

『何それ、理由なってへんよ』

「ええの」


半ば無理やりの会話がキスで無理やり中断された。



『なあ、狼さん』

「何でしょうか」

『ここに、美味しそうな羊さんがおりますけど』

「…ほんまに?」

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時

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