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『…？出えへんの？』
「ええねん、もう関係ないから」
『そか』
とは言ったものの、着信は止むことを知らず、段々と苛立ってきた。
携帯のパスワードを解除して、通知の数を見れば、45回も電話が来ていた。
これだからメンヘラ女は嫌いなんだ、なぜ付き合ってしまったのか。
心配そうな顔でこちらを見上げてくるので、大丈夫、と笑った。
『熱心な人やね』
「困るわほんまに、夜中とか煩いねん」
『やから最近隈酷いん…？』
「それもあるかもしれへんな」
夜中はトンち達とゲームやったり、レポート書いてたりしてるから、全部が全部元カノのせいではないのだが、他の元カノ達のように、平手打ち一発じゃ済ませてくれないのは、正直Aにまで迷惑がかかるのでやめて欲しい。
自分で撒いた種やけど。
「うっさいなぁ…」
『一回出てきたら？うち待っとるから』
「…ごめんな、すぐ戻るわ」
ため息まじりに玄関まで歩き出し、元カノの携帯番号をタップしながら靴を履いて外へ出た。
部屋の中だと、Aに聞こえてしまうかもしれないから。
玄関の扉にもたれかかって、相手が出るのを待てば、コール音がほとんどないうちに出てきた。
［あんたどういうつもりなん！？散々浮気しよったくせに、今更本命できたなんて信じられへんのやけど！］
「信じても信じなくてもどっちでもええわ、別れたい言うてんねんから別れてくれへんかな」
［はぁ！？私がどれだけ鬱に尽くしたと思ってんの！？］
「君よりももっと尽くしてくれる可愛い彼女やねん」
［何それ、意味わかんないんやけど！私はまだ好きやから！］
「俺はもう好きにはなれんで」
［っ、なんで私のこと裏切るん！？あんなに好きって言ってくれたのに！］
「…ごめんな、全部嘘やねん」
［〜〜〜！最っ低！信じらんない！もういい！あんたみたいなクズなんか大嫌いよ！］
一方的に切られ、耳元にまだ声が残る。
耳鳴りが収まらず、頭まで痛くなってくる。
早く部屋に入って癒されようと扉を開ければ、いつもより何だか重みがある。
そう思ったのもつかの間、よろめいたAが汗をダラダラと垂らしながらこちらを見ていた。
「…何してんの？」
『……どんな断り方すんねやろって、気になっててん』
「心配した？」
『…ごめん』
「ええよ、俺が自分で撒いた種や」
腕を広げれば、素直に飛び込んでくる。
これは当分、目移りなんて言葉は頭の辞書からは消え去ることだろう。
いや、一生…？
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作者名：そういろね | 作成日時：2019年4月4日 4時
