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『…痛そうやな』

「まあ、こんくらいは覚悟しとったわ」

『痛いやろ、保健室行く?』

「いやええわ、それより早よ行かな、あいつらに怒られてまうわ」


次の日。
昨日のことを見ていた彼女達には勿論のこと平手打ちをくらわされ、噂を聞いて連絡をしてきた彼女達にも、話をすれば平手打ちをくらわされた。
頰がジンジンと痛むが、冷やせば跡はすぐ引いたので、ほんの少し腫れているくらいだ。
それでも大丈夫かと心配方な顔で聞いてくるのだから、つい笑みが溢れる。


『…その顔やめて』

「ん、変な顔しとった?」

『…んーん、うちの好きな顔しとった』

「そか、もう一回してあげたいけど、どんな顔かわからへんわ」

『ええよ、別に』


結局、衰廃しきったあいつらは、浮気したり泣かせたら殺すとの伝言だけ貰い、一応のところは承諾を得た。
父親に会いに行った気分やったわ。
これで結婚許してもらう時はまだ緊張せんくて済むな。


『昨日は凄かったなぁ…皆ほんま仲ええな』

「集中攻撃受け取ったん見てへんかったん?」

『本気やないやろ?あれ』

「まあ流石にな、本気で殴ったらAが怒る思っとったんちゃう?」

『別に怒らんのに』

「それはそれで悲しい」


いつもより近い距離で、ついいつもの癖でその手を自身の手と重ねてしまう。
いきなりで驚いたのか、Aの肩が跳ねて、握り返してはくれたが、そっぽを向いてしまった。
こっち向いてや、言うても、嫌やの一点張りなので、耳元や頰に注目すれば、林檎のように真っ赤になっていた。


『…見んといて』

「ええやん、かわええよ」

『煩い、あほ』


Aは照れると辛辣になるらしい。
ツンデレみたいやな、可愛い。
しかし、余裕そうな俺に腹が立ったのか、不機嫌そうな顔で見上げられた。
上目遣いしんとって、可愛い。


『…ぎゃふんって言わせたいねんな』

「ぎゃふん」

『……』

「無言で怒らんとって、ごめんて」


頰を膨らまして怒った表情になったので、すぐに謝れば、何か良いことを思いついたとでも言うかのようにぱっとこちらを見てきた。
やめてや、可愛い。
目キラキラしてんのほんま可愛い。
あかんわ、可愛いしか出てこん。


「!」

『んふ…驚いたやろ』


手が、繋ぐだけでなく絡められた。
しかも、Aの方から。
ぐうかわ。

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作者名:そういろね | 作成日時:2019年4月4日 4時

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