幽霊彼女と怪異と。2 【地縛少年花子くん】

記憶。 ページ19

ｷｰﾝｺｰﾝ

ｶｰﾝｺｰﾝ_____







“ 5時30分になりました ”


“ 外で遊んでいる子供達は 気をつけて帰りましょう ”






.






「 何度も言うが、俺ァ担任としてただお前の
力になりたいだけなんだよ。だから


…そんな顔するな、柚木 」





「 …… 」





「 一体毎日毎日、誰にやられてる 」





「 …… 」





「 …一ノ瀬も心配してたぞ」





「 …… 」






「 怪我は減らねェ、授業はサボる

…聞いてんのか、柚木普 」




「 …土籠先生シツコイ 」ﾌﾟｲ




「 …あのなぁ、俺はお前が心配なんだよ 」




「 心配ってこれ？全然ヘーキだよ。

別にいいんだ 」




「 良くねェ！一体どんな理由でこんなふうに
人を傷つけて許されるって… 」




「 いいんだ ！


…誰も許さなくたって、理由なんかなくたって
俺が許すから 」





「 …… 」





「 先生、俺ね月の石持ってるんだ！

これがそう 」




「は、？」




「 ホンモノって言ったら信じる？」




「 …いや、」




「 あはっ、だよねー 」ﾆｯ




「でも俺達はホンモノだって信じてる。
だからこれは、誰がなんて言おーと月の石なんだ 」





“ 俺の宝物！”





.







「 ……柚木、今はお前の話を__ 」





「 あ、見て先生！今日はもう月が見えるよ！」





「 …ﾊｧ 」





「 …先生は月に行きたいと思った事ある？」




「 あ、？」




「 俺はあるよ。…月ってでっかくて綺麗じゃん
だからかな、すげーいいとこな気がする 」






ｶﾞｼｬﾝ__






「 バッ、危ねェッ！」






ﾊﾞｼｯ







.






「 …ねー、先生。

先生は俺の事心配してんだよね 」





「…ああ 」





「 俺の力になりたいって 」




「…そうだ 」





「 なら1個だけ、ワガママ聞いて 」




「 …いいよ 」





「 じゃあこれ、貰ってよ」





「…宝物じゃあないのか 」





「うん。俺ね、この石見てると自分もどこに
だって行けるような気がしてた。



…でも、







もうどこにも行かないって決めたから____ 」

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