Ｎｏ．５ ページ6
明らかに様子のおかしいアラスターにだんだんと不安になってきて恐る恐る声をかける。
『もしかして俺はお前になにか取り返しのつかないことをしてしまったのか』
「……」
ジジッとノイズ音も聞こえてきて、ゆっくりと顔を上げたアラスターの目が黒く染っていた。
「ふざけるな」
『あ、アラスター？』
「私にあのような屈辱な事をさせておきながら忘れるなんて信じられない。元から貴方のことなんて尊敬していませんが、もはや怒りを通り越して軽蔑します」
『ぐっ』
アラスターのいつにも増して棘のある言葉がグサリと刺さった。俺はそんな外道になったつもりは、ダメだその時の記憶が無いから何も言い返せない。
するとアラスターの瞳に時計の針のようなものが浮かび上がり、心做しか角も大きくなっている。これは本気で怒っている。
暫くしてアラスターは元の姿に戻った。
「しかしそこまで私も鬼ではありません。簡単な取り引きをしてもらいます」
『取り引きって……』
「無論魂は要りません。貴方がホテルを訪れた際にまたこの部屋に来て下さい。その時に取り引きの内容を教えましょう。ただしこの事は他言無用でお願いします」
『え、は？』
戸惑う俺を横目にアラスターは自身のマグカップを机に置いてベッドに近づいた。
トンと肩を押されて流れるようにベッドに倒れ込むと、ギシッとベッドの軋む音がする。
反射的に瞑った目を恐る恐る開くとアラスターが俺に覆いかぶさっていた。
いつの間にか俺の動きを塞ぐようにアラスターの両腕が俺の顔の横にあって完全に組み敷かれてしまい逃げるタイミングを失った。
「このように私に覆いかぶさった事も覚えてませんか？」
『ちょっ……落ち着けって！』
「私は至って冷静ですよ」
アラスターの視線は寝ている時にボタンが外れたのか緩くなったブラウスの襟の辺り、言わば急所である首元に向けられていた。
咄嗟に首を守ろうとするが、それを読んでいたアラスターは俺の両手首を片手で掴み抵抗できないように動きを封じられる。
「ふふっ」
目を細めて笑顔を浮かべるアラスターは鎖骨から首筋にかけてゆっくりと指を滑らせる。
その動きにビクリと身体が硬直するとアラスターは俺の反応に満足したのか耳元に顔を近付けてふっと息を吹きかけ、一段と低くなった声でこう囁いた。
「私から逃げたらどうなるか分かってますね」
序盤の冒頭に至る。
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ミノ(プロフ) - ねこではないですさん» コメントありがとうございます😭次にアラスターがどんなことをしでかすか楽しみにしてもらえると嬉しいです^^ (3月27日 22時) (
レス) id: 786b507bdd (このIDを非表示/違反報告)
ミノ(プロフ) - ミカン酢さん» コメントありがとうございます！これからも主人公くんを温かい目で見守ってもらえると嬉しいです^^ (3月27日 22時) (レス) id: 786b507bdd (このIDを非表示/違反報告)
ミノ(プロフ) - 寧王さん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです😭更新できるよう頑張ります！ (3月27日 22時) (レス) id: 786b507bdd (このIDを非表示/違反報告)
ねこではないです - よし、やるんだ。アラスター。 (3月23日 17時) (レス) @page6 id: 028c313a8c (このIDを非表示/違反報告)
ミカン酢(プロフ) - 主人公くん……ナイス((( (3月23日 10時) (レス) @page6 id: 2477d4d58e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミノ | 作成日時：2024年3月21日 14時
