ひろし達との小学校生活 3

帽子 ページ31

「なんで鈴木が……。」

「学校帰りですよ。店長君こそ、風邪じゃなかったんですか？」

店長君は帽子のつばを掴んで右や左や動かしながら言った。

「あー。今日休んだのは念のためだよ。体調は良かったんだがとある店員が休んでおけってうるさかったから休んだ。」

「じゃあなんで外に出てるんです？」

「気分転換だよ。家にずっと居ても退屈だろ？だからといってスマホ見る元気もないし、だから散歩でもしようかなと。もう帰るよ。」

店長君スマホ持ってたんだ……って、そうじゃない。たしかにみたところ体調は悪くなさそうだがなんだか元気がなさそう。

「じゃあ私もついて行かせてください。いや、ついていきます。体調が悪くないと言えども心配です。」

「分かった。別に嫌じゃねぇし。」

そう言いながら店長君は帽子を深くまで下ろし、反対方向を向いた。私はその隣に立つ。

「ひろし君達も店長君のこと。心配してましたよ。」

「そうか……。」

やっぱり元気がないのだろう。いつもならんなわけねぇだろ。だとか否定するのに。

「なんかごめんな。」

「全然大丈夫ですよ。それに一緒に帰ってるのは私の勝手です。それより……。」

店長君の異変は歩き始めてから起きた。

「なんで、泣いてるんですか？」

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