ひろし達との小学校生活 3

病室 ページ14

背筋が凍るような感じがした。
＿＿店長君が死んだ？
少し前まで元気に笑ってたのに。少し前まであんなに笑ってたのに。

「早めに言っておいた方がいいと思ってね。一人になりたいだろう。医者には言っておくよ。じゃあね。」

お父さんはそう言いながらどこかへ言ってしまった。

「……。」

不思議と涙は出てこなかった。悲しいのに、涙が出ることを拒否してるみたい。

「本当に車に轢かれちゃったんですか？」

答える人は誰もいなかった。
こんなことを思ってしまう。店長君は轢かれるほど注意力がなかったのか？
店長君は右とか左を確認するような人ではないけど、以前自転車に気づかないままぶつかりそうになったことがある。その時店長君は気づいていた。

「それに運動会でも一番早くに近づいてくる人に気づいてた。」

何かがあった……？止むを得ず轢かれた理由が。そう仮定したら一つしか想定できない。
＿＿誰かを庇った？店長君の性格ならおかしくはない。知らない人、では助けないと思うけど、ちょっとでも知ってる人が轢かれそうになったら庇いそう。

「誰かを庇った、か。」

それ以外予想は出てこない。
何でこんな冷静に推理なんてしているんだろう。

「あれ。」

手が濡れていた。涙で。いつのまにか泣いていたのか……お母さんの時みたいだな。まさかあんなに身近で大切な人がまた死ぬなんて思ってもなかった。

「まだお礼も言ってないのに……。」

助けてくれたお礼を私は言ってない。
……もし私が落ちていなかったら。
いつも通り店長君は私と帰っていたのだろう。そしたら店長君は死んでなかったのかもしれない。

「ごめんなさい。」

ひたすら謝り続けた。

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