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「んぅ〜…」
ブラとショーツで眠るA、枕を抱きしめ丸まっている様はまるで赤ちゃんのよう。
真昼間までホテルで爆睡、良いご身分だ。
「ねぇ、どうして私とお兄ちゃんは本当の兄妹だ、て分かるの？」
私たちは捨てられた身、歳も結構離れてるし、見た目は似てるけど私たちどちらも流星街の外から来た人間だと聞いている。
「血、かな。」
本から目を離さず、適当にそう答える。
「適当〜。」
家族とか、友情とか、そんなのこの街にない。
あるのは、お互いゴミみたいに捨てられたゴミだということ。
家族や友達じゃないけど、その腐った環境の中で育まれた絆に何と名前を付けたらいいのだろう。
「A、手を出してごらん。」
「はい。」
両手を差し出すと、兄はAの手を両手で握る。
「…Aは、欲しいものはあるか。」
「欲しいもの？別にないよ。
強いて言うなら、美味しいもの食べたい！雑誌に載ってたマカロンとか、ショートケーキとか！」
無垢で可愛らしい笑顔、その顔を見てホッとする兄。
「お兄ちゃん…」
幸せそうに眠っているが、その途中、大音量で着信音が鳴る。
その音にびっくりしたのかベッドから転がり落ち、ずれ落ちたスマートホンがおでこに直撃。
「いっっ…！！
もぉっ…最悪っ」
涙目になりながらも、寝ぼけた頭で電話をとる。
「もしもし…。」
「A、私だ。」
「…くらぴか。」
その声を聞いて一気に眠気が飛ぶ。
ドキドキと心臓が早まる、苦しいくらいだ。
「蜘蛛が生きている。」
「…誰からそれを？」
世間では死んだ、て報道されてるはず。
自力で調べる、たって、こんな早くにわかるはずない。
「やはり、Aも知っていたか。
一度君と話をしたい、これから時間はあるか？」
「…わかった。」
恐らく、蜘蛛討伐の協力だろう。
「待ち合わせ場所は後で送る。
じゃあ、また後で。」
「うん。」
電話が切れた後、私はしばらくスマートホンを眺めていた。
「…。」
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作者名：ゆめゆめ | 作成日時：2022年8月5日 0時
