デート ページ11
「体調はもう平気なの？」
民族衣装ではなく、おしゃれな私服で現れたクラピカ、お顔がよろしいので隣に立つのが少し恥ずかしい。
「あぁ、心配をかけてすまない。」
とはいえ、まだ少し辛そう。
「まずは映画に行こう。」
「なんの映画？」
流れでデートに行くことになってしまった。
正直、映画も一人が好きだしご飯も一人で好きなものをゆっくり食べるのが好き。
人と一緒に出かけるのはなんだか窮屈だし、共同任務もどこかに所属するのも嫌い。
「パラサイトだ。」
「パラサイト…。」
デートで選ぶ？それ。
大きな映画館に入り、ちょうどいい席に座る。
映画は口コミ通り、最高に面白かった。
人の狂気、欲、そしてスリル。
全てフィクションで現実味がない映画だったけど、確かに、ドキドキしたし、終わった後の謎の爽快感がある。
映画が終われば近くのカフェへ。
そこで映画の感想会。
「想像していたよりストーリーがしっかりしてたね。」
「あぁ、伏線も気持ちよく回収してくれた。二回目が見たくなった。」
映画の感想会は意外にも、深く重い会話ができた。お互いの解釈や意見、そして感じたこと…。
「今までで一番ワクワクした話は？」
「ディノ・ハンター。」
私は即答した。
「奇遇だな、私もだ。」
「…。」
彼の隣に、ある一人の男の子の顔が浮かんだ。
そこで、ディノ・ハンターについて二時間くらい二人で話してた。
どこにワクワクしたか、登場人物の心境、あの行動の意味、作品の考察…
「A、私と一緒に蜘蛛を追ってくれないか？」
「…。」
テーブルに置いた手に、クラピカは手を重ねる。
私はその手をじっと見た。
「…何故、蜘蛛にそんなに執着するの？」
復讐とかくだらない。
弱いから滅ぼされた。弱いから守れなかった。弱いから奪われた。
「…緋の目を知っているか？」
「勿論、クルタ族の特別な目、感情が昂ったりすると綺麗な緋色になるお宝。
…5年前に幻影旅団に殆ど滅ぼされたと聞いているけど。」
全部知ってる。
「よく知っているな。
私はそのクルタ族の生き残りなんだ。残虐に殺されただけでなく、目まで奪われ、今も何処か彷徨っている…。」
くだらない。
「私の夢は、同胞を滅ぼした蜘蛛を殺し、仲間の目を全部集めることだ。
その為にはA、今度こそAの力が必要なんだ。」
続く
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作者名：ゆめゆめ | 作成日時：2022年8月5日 0時
