ピアス(緑) ページ43
緑side
「神ちゃん、絶対ピアス
似合うと思うねんな〜」
「え、そう？」
付き合い初めて間もない頃、
君が突然そんなことを言い出した。
「開けてみたいって思う？」
「ん〜、確かにAが着けてるの見て
オシャレやなぁとは思うけど、
自分で開けるのは勇気いる(笑)」
「それならいいかな？
見て！
ピアッサー持ってきた！」
そういって、笑うAは
どこか楽しそう。
手には2つのピアッサー。
「え、一気に２つは怖い！
せめて１つにしてや！(笑)」
「ちゃうって！
うちが神ちゃんの耳開けて、
神ちゃんにうちの耳開けてもらうんやんか！」
あ、そゆことね。
「え？俺がAの開けるん？」
自分でやったことないのに、
人に出来るんやろか。
「うん、神ちゃんに
やってほしいねん。
付き合えたこと、
ちゃんと形にしたいと思って…」
そう言って照れるAは、
メッチャ可愛い。
「んふ、ええよ。
対になってるやつは、
はんぶんこして着けたいな〜」
「めっちゃやってみたかってん、それ！
そうと決まれば、はよ開けよ！」
すぐに準備を始める。
消毒とか、コットンとか、
ちゃんと持ってきてたんや(笑)
君のもので散らかった俺の部屋。
隅っこの方に移動して、
2人でしゃがんだ。
「先に、神ちゃんの開けるな？」
「うん、ええよ」
耳たぶを消毒すると、
スースーするから、
ちょっと緊張してきた。
「行くで？」
「ん」
ぎゅっと目を閉じる。
ちゅっ。
ガシャン！！！！！
「……へ」
「痛かった、？」
いや、そうやなくて。
今のって、キス…。
え、キスした？？
「んはっ(笑)
びっくりして痛みなんか無くなったやろ！」
「もう…かなわんわ(笑)」
いや、付き合って初めてのキスやで？
もっとこう、ムードとか(笑)
でも、俺が緊張してたから、
ほぐしてくれたんやな。
驚くくらい、痛くなかったもん。
Aの耳に開けるときに、
俺からやり返した(笑)
君と１つになれた気がして、
1人じゃないと思えた夜やった。
俺の部屋なのに、
段々と増えていく君のもの(笑)
何に使うか分からんものとか、
ポンポン置いてくから、
本当に誰の部屋か分からんくらい。
それすらも愛おしかった。
起きて朝日に照らされて光る
君のピアスに触れながら、
「Aの…俺のより、光って見える」
って言ったら、
「そんなニヤケんといて(笑)」
って怒られたんよなぁ(笑)
朝から、幸せやった。
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2021年1月14日 13時
