僕らのはんぶん。 (ページ34)

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115万キロのフィルム(紫) ページ34

紫side

「ちょっとお手洗い行ってくるな」

「うん、迷子ならんようにな(笑)」

「大丈夫やって(笑)」

隣で微笑むA。

今日は記念すべき、
俺らの結婚式の日。

もちろん、あの6人も呼んでるで。
同じテーブルで楽しんでくれとるみたいや。

今は、披露宴の途中。

実はこの後、サプライズ用意してん！

俺が会場の外に出たのを合図に、
司会の人がアナウンスする。

『ここで、新郎様からの
プレゼントがございます。

皆様、スクリーンをご覧ください。』

「え？」

A、びっくりしとる(笑)
まだこれからやで(笑)

"これから歌う曲の内容は
僕の頭の中のこと

主演はもちろん君で
僕は助演で監督でカメラマン"

Aが好きな歌に合わせて、
写真が流れる。

Aの後ろ姿の写真。

振り返って笑ってる写真。

こっちに走ってきてる写真。

ここで、結婚式の前撮りの時に
海辺で撮った動画が流れる。

『なぁ、見てて！』

『なにぃ？』

『撫で肩ぁ～ん』

『…崇裕、絶対スベってんで(笑)』

会場からちょっと笑い声が聞こえる。
よかったぁ！(笑)

"くだらないなと笑ったんなら
つかみはそれで万事オッケー"

"ここまでのダイジェストを
少しだけ見せるよ"

付き合ってから今までの
写真とか動画を
たくさん撮り溜めてたから、
スライドショーにしてん。

初デートの時の写真。

手を繋いでいる時の動画。

Aが拗ねてるときの写真。

ケーキをどっちが食べるかで悩んでる動画。

『なんで同じのにせんかったんやろ、
選ばれへん！どっちも美味しそう！』

『あははっ！(笑)
ほんなら両方はんぶんこしたらええやん』

『えっ、いいん？！』

ぱあっと明るくなる表情。

それを会場でみているAは
少し恥ずかしそう。