僕らのはんぶん。 (ページ23)

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はなびら(桃) ページ23

あなたside

新学期、
新しいぶかぶかの制服を着て、
学校までの道のりを歩く。

今日から高校生。

友達たくさん作るぞ、と
意気込んでみるものの、
中学で友達と呼べる存在は
ゼロだった私。

いわゆる、ぼっちです。

こんな地味でコミュ力もない私が、
周りにいる可愛い女の子たちみたいに
なれるわけないと分かってるけど…

高校こそは、楽しく過ごしたい！

「わっ」

考えながら歩いていたからか、
誰かとぶつかって、
かけてた眼鏡を落としてしまった。

「すみません…！」

慌てて謝る。

「いや、俺こそすみません！
怪我してないですか？
眼鏡も落としてしもて、
壊れてないやろか…」

関西弁でしゃべるその人は、
私と同じ制服を着ていて、
ネクタイの色も同じ赤色だった。

顔を見ると、とても綺麗なお顔で。
イケメンだなぁ。

ガン見してしまって申し訳ない、
と思っていると、
彼もまた私をみて固まっていた。

「あの…」

「へ！あぁ！
お姉さんめちゃめちゃ綺麗すね！
てか学校も学年も一緒なんや！
これから3年間よろしく！
ほんなら学校まで一緒にいきましょ！」

マシンガントーク…
苦手なタイプかもしれない。

そしてサラッと、綺麗って言われた。

イケメンだし、
女の子に困って無さそうだし、
慣れてるんだろうなぁ。

断ることもできず、
眼鏡をかけながら、
「そうですね…」
といって彼と並んで歩く。

歩きながらも
彼はすごく話しかけてきて、
人見知りしない人なんだと思った。

「名前聞いてもええ？」

「え…」

名前を聞かれるとは思わず、
言葉に詰まってしまう。

「あ、先に俺が名乗るべきやんな！
小瀧望です！
のぞむでものんちゃんでも好きに呼んで！」

「じゃあ、小瀧くんで…
私は、三浦Aです」

「A！いい名前やな
小瀧くんって距離感じんねんけど～
望じゃあかんの？」

「無理です、急に下の名前を呼び捨てなんて！！」

「お願いやん、
せっかく友達なれたのに
他人行儀は嫌やわぁ」

…しつこい。
馴れ馴れしく下の名前を
呼び捨てで呼んでくるし、
私には呼び捨てを強要してくる。

「わかりました！
じゃあ、小瀧で！！！」

少し大きな声でそういうと、
満足そうに笑う彼。

「あははは！！
大人しいんかとおもたら、
そんな感じなんや？？」

…なにが面白いのかさっぱり分からない。

「これからよろしく、A！」

不安でいっぱいだった
高校生活の初めての友達は、
うるさい関西人、小瀧だった。