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嘘だと分かっていても。
優しく触れるその指が好き。
啄むように繰り返されるキスが好き。
細身なのにガッチリしている身体が好き。
名前を呼んでくれるその声が好き。
目がなくなるほど笑う笑顔が好き。
崇裕さんが好き。
想いを伝えたら、
この関係は終わるかな？
約束なんていらないから、
ずっと抱きしめていて欲しい。
このキスで終わらないで、
もっと貴方とキスしていたい。
崇裕さんがいないと、
私はもうダメなんです。
貴方といると、
ダメだと分かっていても
どんどん欲が出てくる。
いつもは目覚めると、
崇裕さんはいなくて、
私は身支度を整えて、
ベッドに彼女さんの香水をふって、
静かに帰るのが決まりになっていた。
今日、目が覚めたのは夕方だった。
…お泊まりできると思ってたんだけどなぁ。
ベッドの上で洋服を着ていると、
扉が開いた。
「あ、A起きた？
おそよう〜(笑)もう夕方やで」
「え…なんで、」
なんで、いつもいないはずの
崇裕さんがいるの？
どうしてそんなに穏やかに笑っているの？
「なんでって…
今日はAと話したくて呼んでん、
我慢できんで襲ってしもたけど…」
話したいこと？
この関係はやめようって言われるんかな。
そんなの嫌だ。
崇裕さんと会えなくなるなんて。
「あのな、ずっと
言おうと思っててんけど「嫌です！」」
「え。」
気づいたらぼろぼろ泣いていた。
「嫌です…」
「えぇ！泣かんといて！」
「だって、私崇裕さんが好きなんです。
こんなこと言って困らせるかもしれないですけど、崇裕さんと会えなくなるのは嫌です。
そばに居させてください。」
崇裕さんは黙ったまま。
ゆっくり崇裕さんの顔を見る。
目を見開いてびっくりしていると思ったら、
私の大好きな笑顔に変わった。
「もぉ〜〜〜…
俺から言おうと思ってたのに！」
「え？」
「ずっと辛い思いさせてごめんな？
俺も、Aが好きです。
Aが好きって気づいたから、
彼女とはもう別れてん。
俺と、付き合ってくれませんか？」
だからか。
いつも置いてある彼女の香水が無くて、
私が好きだと言ったホワイトムスクの
ルームミストに変わってて。
いつもは行為の時だけ外すペアリングも
今日は着けてなかった。
喧嘩したのかと思ってたけど、
違ったんだ。
やっと、崇裕さんの1番になれた。
返事の代わりに背伸びをして、
崇裕さんにキスをした。
milet / us
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2021年1月14日 13時
