us(紫) ページ21
あなたside
あの人に呼ばれるのは3ヶ月ぶり。
玄関の前で、呼吸を整えて、
チャイムを鳴らすと、すぐに扉が開く。
「…久しぶり、やなぁ」
私の大好きな笑顔で迎え入れてくれる
崇裕さん。
「お久しぶり、です。」
ぎこちなく返事をすると、
崇裕さんは笑う。
「ははっ(笑)
久しぶりやから緊張してるん？
ごめんな、最近呼ばんで、
ちょっと色々考えててん」
色々考えてたって彼女のことかなぁ。
崇裕さんには彼女がいる。
分かっててそういう存在になってしまった私も、なかなかずるい女だ。
自分がまいた種だというのに、
苦しくて仕方ない。
「なにぼーっとしてるん？
入り？寒かったやろぉ、」
この、語尾がふにゃんとした
崇裕さんの話し方はすごく落ち着く。
と同時に、自然と笑顔になる。
「ふふっ、ありがとうございます。
お邪魔します」
「お邪魔されまーす(笑)」
すぐに行為をするのではなく、
夜まではまるで普通の恋人のように、
まったり過ごすことが多い。
くっついてテレビを観ていると、
「A〜？もしかして彼氏できた？」
ときかれて、びっくりする。
「いえ、出来てないですけど…」
戸惑いながら答える。
「これ、キ スマちゃうん…」
そういわれて、崇裕さんの指先が
私の首に触れる。
その声色が嫉妬してるように
聞こえるのは、私の勘違いですか？
「あぁ、崇裕さんに呼ばれて、
急いで準備してた時に、
ヘアアイロンで火傷したんです(笑)
火傷のあとですよ」
「え、そんな急いで準備してくれたん？
火傷のあと残ったら大変やん、
女の子なんやから…！！」
ほら、そうやって期待させる。
彼女がいるのにそんなこと言うなんて、
崇裕さんはずるい。
「ありがとうございます」
そういってスルーしようとしたら、
崇裕さんはムッとした顔をした。
そして、急に抱きしめられて、
火傷のあとにキスをされた。
「…っ、たかひろ、さん？」
「…消毒せな」
昼間からこういうムードになるのは
なかなかない。
首筋にキスされていると、
やはりそういう気分になってくるもので。
「…そんな顔しんといて、
我慢できんくなるやろ」
そういうと、崇裕さんは
私を優しくベッドに押し 倒した。
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2021年1月14日 13時
