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その日からかな、
Aの俺に対する態度が変わっていったのは。
「好きやで」って言ったら、
ふにゃってした笑顔を見せてくれてたのに
笑顔がぎこちなくなった。
残業が多くて、
帰りが遅くなった。
会話がすぐ終わるようになった。
くっついて寝てくれなくなった。
夜、飲みに行くことが増えた。
スキンシップが減った。
携帯を見ることが増えた。
その携帯を見て顔が綻んでいるのを
俺は知ってる。
俺の大好きな笑顔を、
見せてくれなくなった。
なぁ、何があったん。
どうして。
帰ってきたAは、
男物の香水の匂いがする。
「なぁ、好きやで。
今日はぎゅーして寝よ」
勇気を出してそう言っても、
「…うちも好きやで。
ごめんな、お風呂入るから。
先に寝といて？」
もう俺への気持ちなんてないのに、
そんな優しい嘘、バレバレやで。
…嘘つき。
Aのおらんなった部屋で、
声を押し殺して泣いた。
幸せと感じることも
肌を重ね合うことも
いつから無くなった？
全部嘘やった？？
まだ、一緒におりたいけど、
嘘をつかれ続けるんは辛いんよ。
「あれ、りゅうせいまだ起きてたん」
俺に話しかける時も、
あの笑顔を向けてくれることは無くなった。
「A、笑って」
「え、どしたん急に」
「…こう？」
やっぱりあの笑顔じゃない。
もう一度だけ、あの笑顔で笑って欲しいのに。
「なぁ…
[ポヨーン]
「あ、ごめんLINEきた」
通知を見て、顔が綻ぶA。
あぁ、
あの笑顔を俺以外に見せるようになったんや。
目の前で見てしまったら、
もう受け入れなければならないわけで。
「A」
「なに？」
「ちょっとこっちきて」
「どしたん、りゅうせ…」
抱きしめた。
今日までの距離を埋めるように。
強く。
俺からちゃんと別れを告げるから。
もう少しだけこのままで。
「愛してるよ、A」
Tani Yuuki / Myra
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2021年1月14日 13時
