僕らのはんぶん。 (ページ13)

今日:30 hit、昨日:4 hit、合計:30,216 hit

ミスター・ダーリン(赤) ページ13

あなたside

私は、料理が苦手だ。

彼に内緒で、こっそり
料理教室に通うことにした。

いつもの仕事の後、
彼には残業と嘘をついて、
週に2回ほど
料理教室に通い始めて1ヶ月。

教室が終わって家に帰ると、
玄関に仁王立ちしてる大毅がいた。

「わっ、ただいま…」

なんだか不機嫌そうな顔をしている。

「なぁ、A。
最近残業多ない？
こんなこと言いたくないけど、
…本当に仕事なん？」

「…仕事に決まってるやん」

「なんなん、今の間！！
なんか隠してんねやろ？
浮気してるん、
こっそり誰かと会ってるんか！」

なんだ、料理教室に通ってることが
バレたんやなくて、
浮気やと思ってるん？

ってやばいやばい、
なんとか誤魔化さな。

「浮気なんかするわけないやろ、
子どもやないんやから
何でもかんでも
大毅に言わんくてもええやろ！」

大毅が怒って言ってきたから、
つい怒り口調になってしもた。

喧嘩したいわけちゃうのになぁ。

「…あっそ、」

そのまま大毅は寝室に行ってしまった。

…秘密くらいあるよ。
好きな人の前では、
良い彼女でおりたいやんか。

リビングに行くと、机に
大毅が作ってくれたであろう
夜ご飯が並べられてた。

上手とは言えんけど、
うちのために作ってくれる
大毅の料理はおいしい。

作って待っててくれたのに、
あんな言い方してしまって
申し訳ないなぁ。

ご飯もお風呂も済ませて、
大毅が既に寝てるベッドに入る。

一緒に住むって決めた時に、
喧嘩しても同じ布団で寝るって
約束したから。

「大毅、夜ご飯、ありがと、
怒ってごめんな、
…おやすみ」

「…おれも、あんなに怒ってごめん、
おやすみ。」

おやすみとおはよう、
いただきます、ごちそうさま、は
喧嘩してても言うのが、うちらのルール。

このルールのおかげで、
喧嘩が長引かんかったりする。

大毅が寝たのを確認して、
こっそりほっぺたにキスしてから、
眠りについた。