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『望、忘れ物取りに帰ってきて、
それから学校行ってる途中で…
小さい子が車に轢かれそうになったの
かばったんやて…
即死、やって……っ…うぅ…』
小瀧ママ、何を言ってるの？
いきが、できない。
涙が止まらない。
『なかま総合病院ってところに、
おるから…』
「わかり、ました、
すぐ、いきます」
『…ありがとうね』
電話を、切る。
小瀧が？
とりあえず、 藤井くんにも
言いにいかないと…。
足が動かない。
早く、小瀧に会いに行って、
ほんとは生きてるって確かめたいのに。
「あれ？Aちゃん？
こんなとこ座ってどうしたん…
え、なんで、泣いてるん？」
藤井くんがちょうど通りかかって、
でも、うまく話せない。
「小瀧…小瀧が、
病院で、ママから電話…きて、
車、ひかれて……っ…」
藤井くんが眉をひそめる。
「……っ、ぇ、それで、望は…？
望は？！無事なん？！」
藤井くんが私の肩を強く揺らす。
「小瀧ママが即死やったって、
言ってた…けど！！
……っ、ね、藤井、く、
小瀧生きてるよね…？
先生が嘘ついてるだけだよね？」
今度は逆に私が藤井くんを揺らす。
藤井くんの目から涙が溢れ出す。
「嘘やん…嘘や…
Aちゃん、病院、いこ
いまから！」
藤井くんに手を引かれて、
走って病院へ向かう。
電車を乗り継いで、
やっと到着した。
「小瀧さんのご友人の方ですね？
こちらへどうぞ」
看護師さんの顔からは
何も読み取れない。
「小瀧？来たよ？」
「望…！」
案内された病室には、
ベットに横たわる、
顔に白い布をかけられた人がいた。
周りを見渡しても、小瀧はいない。
「…あ、すみません、
部屋、間違えました」
部屋を出ようとすると、
「Aちゃん」
この声は小瀧ママだ。
「小瀧ママ…」
「間違ってへんよ。
望に声かけてあげてくれへんかな…
流星くんも来てくれたんやね、
ありがとう」
ベットに居るのが小瀧？
藤井くんとベッドまで足を進める。
白い布をゆっくり取ると、
「…こたき？」
静かに眠っている小瀧がいた。
顔にもキズが出来てて、痛々しい。
「こたき、起きて、
学校いこう？」
藤井くんは声をかけない。
いや、かけられないのかもしれない。
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作者名：ひよこまめ | 作成日時：2021年1月14日 13時
