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先の儀式に魔物からの襲撃と、様々な事情が重なりすっかりと減った使用人の数。
それを良いことに出した「セシルが魔物を狩りに行く」という提案は存外あっさりと許しを得ることができた。
ベイオウーフの気の弱さと状況の不味さが結果的に上手く働いたようだった。
代わりにベイオウーフが屋敷に留まるようにはなってしまったが、彼の魔獣も同然となってしまったルイが居るのは僥倖だと言えただろう。
何せ聖獣であるルイが入れば少なくとも屋敷を襲うことはない。今のところは、ではあるが。
(それにベイオウーフも気に入ったタツヤに迂闊なことはしない……はず)
ルイが居なければ屋敷を守れない。セシルが居なければルイが使えない。
深澤のことは気に入っている様子がうかがえる。
そう考えてみればこの二人と一匹が脅されこそすれ、命を奪われる心配はないとも言えた。
森の中で息を潜めながら辺りを伺う。
魔物を狩るという役割を得たことによって、屋敷の中だけでなく森の中まで行動範囲が広がっていた。
「ああ、もう……」
久方ぶりに引いた弓のせいか痛む指に舌打ちが漏れる。
深澤ほどあからさまではないものの、確かにセシルだって筋力も体力も落ちていた。
それでもやらねばならないと力を込める。
せめて逃げるとなった時、安全に行ける道だけは作らねばならない。
そのためにも森の地形を把握できるだけ把握して、可能であればひっそりと整備していく。
そんな作業をもう何度と繰り返していた。
魔物はなるほど確かに数が増えている。
ルイが屋敷に留まるようになり、反転ここら一体から遠ざかろうとしているのだろう。
──バシュッ。
放たれた矢が魔物の額を穿つ。
「ッ……」
断末魔が耳を引き裂く。乱暴に耳を抑え頭を振る。
セシルが深澤にそうしたような、そんな優しい守りをくれる人などこの場には居ないのだ。
どうしたってセシルはセシルの力で踏ん張るしかない。
ぞわりと背に走る恐怖心を振り解き、また次の獲物を探す。
兎にも角にも魔物の数は減らさなければならない。
魔物が魔物を喰らい、融合してしまえば次第に目も当てられない様になるのだ。
深澤の逃げられるだけの道があれば。
深澤が襲われないまでに魔物が減れば。
──あわよくば、いっそのこと。
(タツヤの仲間が居たら、)
そうであれば、いいのに。
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如月千羽(プロフ) - みやさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまいましたが、更新は続けるつもりなので宜しくお願いします (8月25日 21時) (
レス) id: 94f81c196d (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 続きお待ちしてました…！この作品好きなので何度も読み返してます^^ (8月24日 19時) (レス) @page9 id: cdc5c5cb1f (このIDを非表示/違反報告)
如月千羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします！ (7月20日 8時) (レス) id: 94f81c196d (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！ (7月20日 0時) (レス) id: a6caf0043b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月千羽 | 作成日時：2023年7月19日 22時
