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「あ？ お前が面倒見ればいいだろ、そんなもん」
何がどうなっているのか。
男が目を覚ましたことを報告すると、ベイオウーフはそんなことを言い出した。
あれだけ新しい宝石眼を持つ者を探し求めていたというのに、どうにも彼はあの男から宝石眼を奪ったわけでもないようだった。
すっかり興味を失くしたのかとも思ったがそういうわけでもないらしい。
ただ執着の対象を
「食物庫だろうが
何故それを思いつかない、と言いたげな馬鹿にした顔でベイオウーフは見下ろしてくる。
今までのセシルは己の部屋から出ることすらもロクに許されていなかった手前、そんな発想があるわけもないのだがそれをこの男は知る由もないようだ。
なんとも言い難い表情を浮かべている自覚はあった。
腕に抱いていた本に視線を落とし、ですが、と差し出すような声をあげる。
「俺よりも貴方のきちんとした部下に任せるべきではありませんか。
信用できない者に命を預けて良いのですか」
「アイツらにんな頭ねえんだよ。
本の虫のお前ならどうにか出来んだろ」
「ど、うにか、って」
「いいか。歩き回れるまで回復させてみろ。
出来なきゃ殺してやるからな」
一方的に押し付けるような声で言い切り、大男はのっしのっしと体を大きく左右に揺らし去っていった。
気配を消す気など毛頭ない足音が遠ざかっていく。
その音に耳を傾けながら重々しい溜息を落とす。
(……俺、さすがに癒療は専門外なんだけど)
当然それを言えるわけもなく。
結果的に役目を与えられたことによって己は命を繋いだらしい。
ついでのようにこの屋敷のいくつかの権限も手元に転がり落ちて来た。
もっとも、死亡条件も付与されてしまったが。
ぐるぐると考え、その思考が深くなるにつれ腕の力が強まっていく。
その場で何十分と考え込んでいただろうか。セシルは諦めたように顔をあげた。
「……ま、しょうがないか」
命じられてしまったのなら、全うするしか立場がない。
どうせやらなければ死ぬ身だし、あの彼の事も気にかかる。
全く隔たれて何も分からないままになってしまうくらいならば、いっそのこと、すべてを任されきってしまった方がセシルとしても好都合だった。
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如月千羽(プロフ) - みやさん» コメントありがとうございます。お待たせしてしまいましたが、更新は続けるつもりなので宜しくお願いします (8月25日 21時) (
レス) id: 94f81c196d (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - 続きお待ちしてました…！この作品好きなので何度も読み返してます^^ (8月24日 19時) (レス) @page9 id: cdc5c5cb1f (このIDを非表示/違反報告)
如月千羽(プロフ) - サクラさん» ありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします！ (7月20日 8時) (レス) id: 94f81c196d (このIDを非表示/違反報告)
サクラ(プロフ) - 続編おめでとうございます！！！ (7月20日 0時) (レス) id: a6caf0043b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月千羽 | 作成日時：2023年7月19日 22時
