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そんな折、部屋の扉がノックされる。
代表してラウールが返事をしたことによって開かれた扉から顔を出したのはアルトとテディだった。
「悪い、今ちょっと……あ？」
開けるなり口火を切ったアルトはしかし室内の様子にギョッとしたようだった。
ソファに溶ける渡辺、慰める宮舘。それを何故か拝む阿部に、すべてをスルーしてくつろぐラウール。
四人にとってみれば割とよくある風景なのだが、一歩外側から出た人間にしてみればやはり異様なのだろう。
ぐるりと四人の顔をそれぞれに見やったアルトの口元は引きつっている。
「……どういう状況？」
「あ、ごめん気にしないで」
気にしないでと言われて気にならないような絵面ではないことは重々承知だが、程よく空気を読めるアルトは物言いたげにしながらも「そうか」と軽くうなずく。
そもそも室内の様子を頓着していなかったテディがぱたりと尾を振ってみせた。
暢気な伸びた声でアルトの肩から声をかける。
「例の四人が見つかりましたよお」
渡辺の体が跳ね起きた。そしてそのまま手を滑らせ墜落する。
再びぎょっとしたアルトが後退ったが、それよりも早くラウールが飛びついた。
「お、おお」
「みんな無事!?」
「四人ともすっごいピンピンしてましたよお。というか、寧ろこっちの方が死にそうに見えますう」
一言多い、とアルトの指先がテディの額を跳ね飛ばした。
悲鳴を上げたテディが渡辺よろしくアルトの肩向こうへと墜落していく様を眺めながら、阿部も落ち着けるわけもなくラウールの後ろから必死に首を伸ばして覗き込む。
「ねえ、ねえ、何処に居たの？
その言い方をするってことは、二人はもう会ったんだよね？」
「ああ……お前らが入ってきたのと別の場所に歓楽街があってな。
そこの宿屋で何故か店番をしていた」
「やたら顔の良い馬鹿デカのっぽが二人も居たのでとんでもなく目立ってましたよう」
おそらく岩本と目黒のことだろう。
生活を始めて分かったがこの国の平均身長は概ね日本と同じであるから、あの二人が並ぶとさぞや目立っていたのだろうと察しがつく。
それで、とアルトは腰に手を当て四人を見渡した。
「本当にそいつらが目当ての人物かって確信は得られてねえ。
該当する人間が四人とも揃ってるから九割九分そうだろうってだけだ。
ってことで今からまたテディと行こうと思うんだが、お前らも来るか？」
「行く!!」
四人の声が綺麗に重なり食い気味に響いた。
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春原明香(プロフ) - 沙耶さん» コメントありがとうございます。オリジナルキャラクターも多い作品とはなりますが、最後まで楽しんでいただけると幸いです。 (5月20日 22時) (
レス) id: cf1a8a04fc (このIDを非表示/違反報告)
沙耶 - 続き待ってます！ (5月20日 17時) (レス) id: 6a6eda54e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月千羽 | 作成日時：2023年5月5日 20時
