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正直に言おう、自分と渡辺と宮舘。その三人だと思ったのだ。
百歩譲って岩本に連絡をしたのなら「ああじゃあ照とラウこじのどちらかが増えるぐらいか」と。その程度の認識だったのだ。
それがまさか、男八人が一堂に会するだなんて。
「あ、お邪魔します」
「阿部ちゃん……」
「あ、えと……いらっしゃい、めめ、康二。……みんな、もう集まってるから」
ん、とうなずいた向井は普段からは考えられないほどのもったりとした動きで靴を脱ぐ。
その隣でいつも通りの笑みを浮かべた目黒が再度「お邪魔します」と繰り返した。
(いや、違うか)
誰もかれも“いつも通り”のわけがなかった。
向井は言うまでもないが、目黒だってよく見ればこの数日で頬がごっそりと削れている。
渡辺だっていつもの威勢のよさはすっかり見られないし、宮舘もふとした時に何かに耐えるように唇をかみしめることが増えた。
ラウールはあの耳に残る笑い声をあげることがめっきりと無くなり、岩本は眉間にしわを寄せて息苦しそうにしている。
今リビングで騒いでいる佐久間だって、目の下に隠しようがない隈を造り上げつつあるのだ。
深澤の不在によってグループの仕事は減ったが、だからと言って個人の仕事も減るわけではない。
むしろ、グループの仕事を個人として再度ふり分けているのだからメンバーによっては却って多忙になった者もいる。
気遣われてこそいるが、気遣ってばかりではままならない。それでもやはり、心は着いてこない。
「あーぷぅ」
不意に、指先をきゅっと握りしめられた。向井だ。
くりくりとした瞳を不安げに揺らした向井はこんな時でもまっすぐに阿部を見上げている。
「なに、康二」
「大丈夫なん」
「大丈夫だよ。康二は？ ちゃんと眠れてる？」
「おれは……」
言葉を濁すように俯く彼になぜだか泣きたくなってしまった。
口先の言葉なんてとうに限界だと分かっている。
それでも否定を口にしたって事態が好転しないことも分かっている。
だけど、分かっているけれど。
大丈夫、なわけがないのだ。
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春原明香(プロフ) - 沙耶さん» コメントありがとうございます。オリジナルキャラクターも多い作品とはなりますが、最後まで楽しんでいただけると幸いです。 (5月20日 22時) (
レス) id: cf1a8a04fc (このIDを非表示/違反報告)
沙耶 - 続き待ってます！ (5月20日 17時) (レス) id: 6a6eda54e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月千羽 | 作成日時：2023年5月5日 20時
