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自称イタチの黄緑色の毛玉であるテディはアルトの使い魔なのだという。
「コイツの種族は魔素が固まってできた鉱石の守護妖精だから、
人間以上に不可思議に精通している。んだが……」
「そうは言ってもテディは剣の守護妖精なので魔法も魔導もからっきしですよう」
「じゃあ戦い専門なんだ？」
「ところがどっこい！ テディは見ての通り主の服に隠れる程度にはビビりで痛いのが苦手なので、
な〜んにもできないポンコツなのですう！」
「自分で言ってて悲しくなんねえのかお前は」
胸を張るテディにすわりきった視線を向ける渡辺。
彼は各方面において真っ先に疲れ果てていたからか、態度の節々が既にやさぐれていた。
会話に入ることを完全に放棄していた阿部は漸う回復しつつある足をたたせ、あのう、と声をかける。
「んだよ」
「それなら、せめて、探せそうな伝手とか……
そうじゃなくても、当面の生活をどうにかできる術ってありませんか」
「生活ぅ？」
「俺達、その四人以外にも探している人がいて……出来るなら自分たちの手で探したいんです」
露骨にアルトの顔が「まだ居んのかよ」と物語っていたが、無視して言葉を畳みかける。
文字通り右も左もわからない世界の中で、少なくとも己の命を保証するには彼にかけるしかない。
だからこそ、まだ彼と彼のメイトが聞く耳を持っている内に食い下がる以外の方法がなかった。
「何も探してくれなんて言いません。
ただ、働ける場所と生きていける家が欲しいんです」
「働ける場所ってもお前、この時世で月渡りのお前らが動けるわけ……」
思わずもれたのだろう、アルトが慌てたように口を手でふさいだ。
それに合わせるようにして阿部とラウールの眉が同時による。
その三人の小さな動きを静観していた宮舘がテディの名を呼ぶ。
「あい！ なんですかあ」
「この世界って、俺達みたく異世界から来る人間って多いの？」
「多くなきゃ月渡りなんて名前、つかないですよう。
それこそ当代の神皇様は昔から月渡りをむごご」
いよいよテディの口すらもアルトによって塞がれる。
「やめろやめろ馬鹿かお前は！」
「ふむー！」
「とにかく！ お前らが下手に動くのはまずいんだっての。
だから一先ず城に連れていく」
「し、城？」
宮舘が困惑したように首を傾げる。
ああ、とひとつ頷いたアルトの背後には確かに青い城が見えていた。
「俺の家。ルザライト王国はラズライト城だ」
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春原明香(プロフ) - 沙耶さん» コメントありがとうございます。オリジナルキャラクターも多い作品とはなりますが、最後まで楽しんでいただけると幸いです。 (5月20日 22時) (
レス) id: cf1a8a04fc (このIDを非表示/違反報告)
沙耶 - 続き待ってます！ (5月20日 17時) (レス) id: 6a6eda54e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：如月千羽 | 作成日時：2023年5月5日 20時
