_今 夜_ _JIN_

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突然電話がかかってくるのはべつに珍しいことではない。



でも発作の後なら話は違う。



ひたすらに頑丈さが取り柄だった私もさすがに病気にはかなわないみたいで、進行の続く病気で発作が出るようになった。


胸が苦しくなって息ができなくなる。指先、足先がしびれて動かなくなる。


たった数分の、でも体感時間はものすごく長いそんな発作が終わってすぐ、スマホのコール音がなった。


正直でる気はなかったんだけど、ディスプレイに表示された名前を見て、一瞬だけ迷って電話をとる。



「ヨボセヨ？どうしたの？」



『A』



呼ばれる名前は、ソクジナの声で聞くとなんだかとても心地いい。


何年も聴き続けてるからかな。



さっきまで苦しくて苦しくて仕方なかったのに、なぜかこんなに体が軽くなる。



笑い声に力の入ったからだの気が抜ける。



心地いい。



ねぇ、キムソクジン。


あなたは私に昔、



「僕の持ってないものを全部もってる」



なんて言っていたけど、



私にとってのあなただって、私にないものを全部もってる人なんだ。



ひとりで泣いていると、決まって隣に座って頭の上に置かれる手の重みが、どんなに私を救ったことか。



私はあなた以上に優しくて強いひとを知らないの。



それは立場が変わってしまっても変わることは無い。



電話越しに聞こえる声に、私は今日も救われている。

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