_今 夜_ _JIN_

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夢を見た。



ソクジナを追いかける夢。



倒れた時も同じ夢を見ていたなとぼんやり思っていたら、病室のドアをそっと開けて看護師さんが入ってきた。



「おはようございます、Aさん！あ、今日は夜から防弾少年団ですよ！」



差し出される体温計を受け取ると待ってましたとばかりに始まる言葉からわかるように彼女はゴリゴリのarmyである。


初対面で好きな芸能人を聞かれた時にソクジナの名前を出したのが間違いだった。


毎日のように防弾少年団のスケジュールを報告してくれるようになったのは入院の次の日からである。


外出願いを出した時も、まさか彼女にJINとあってきますなんて言えるはずもなく、とりあえず弟の名前を出した。



ちゃんと彼女とラブラブなのに名前だけ借りて申し訳ない。


とりあえず頭だけは下げとこうなんて誰にともなく考える。



.



「覚悟はしていていて下さい」


ありきたりな毎日は突然終わるのだと気付かされた。


覚悟しなくてはならないような病気になってしまったらしい。


もともとの脳みそはジョングクくんにも負けないくらいアホだからあんまり理解は出来なかったけど、それだけは分かった。



説明を聞いた弟は私の前で初めて泣いた。



「ヌナ、チンチャ…」



「もう、泣かないでよ！私がコロッとやられると思う？」



「…いや、ヌナはそんなか弱くないよね」



「うーん、か弱い乙女ではあるんだけど。」



そんな会話はしたけど、病は確実に私を蝕んでいってるみたい。



数えたくもないほどの薬の量に辟易しながらも飲み下すと、きっとほら、またあの夢をみる。


ソクジナ、あなたには届かないってことなのかな。

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