_今 夜_ _JIN_

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カーテンを開けると、窓の外は真っ白だった。



「昨日の夜からずっと降ってたんですよ。積もりましたね」



「そうだったんですね…」



「はい。じゃあ血圧測りますね」



たった一日で綺麗に積もったらしい雪はまだまっさらで、踏みに行きたいな、なんてちらっと考える。



きっとさくさくして気持ちいいだろうな、なんて。



10年前、ソクジナと2人で朝早く雪を踏みに行ったことがあった。



寒い寒い韓国の冬の朝、2人でいっぱい着込んで歩き回ったっけ。



うん、でもまぁ今じゃちょっと難しいことは自分が一番わかっている。



最近四肢に力が入らなくなってきて、起き上がるのもきついし、立つともっときつい。


歩くのも難しくなってきて、1年前の、働いていた自分の姿がもう想像もできない。



次ソクジナと会えるのはいつかな、なんて、会った次の日から考えるけど、こんな姿じゃぁ会うことも出来ないかもしれないな、なんて。



世界的アーティストに対してこんなふうに思うのも図々しい気もするけどね。



それでも私にとってソクジナは、ちょっと変わってる、高校1年で知り合った、あのソクジナのままなんだ。



.



私たちがいつも一緒にいた、あの頃と何一つ変わったところはないような気がするのに、全てが変わってしまった。



初めの頃はよく話していたグループのメンバーくんたちも、今ではあのころとはちがって、みんな大人になっていて。



きっともう会うことすら叶わない。



ぐちゃぐちゃの宿舎も、がつがつお腹の中に消えていく7人前のご飯も。



いつまでも覚えているけど、もう二度と戻れない、あの頃。

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