94line…？ ② (ページ30)

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ドアから出た瞬間ちょっとヤバめな男の人。

右手に持ってるのは包丁かな、キラっと照明に反射して光ったあたり結構鋭そうな感じ。

…うん。サセンかな。男のサセンは初めてだけど、でも危ないことに代わりはないね、うん。

「みんな！でてくんなよ！」

後ろ手で思いっきりドアを押すと思ったよりも勢いをつけて閉まったドアと、聞こえてきたテヒョンの声。

ごめんテヒョン、尻もちついたか？ごめんな、痛かったよな。手首とか着いた瞬間ひねってたらどうしよう、僕は謝っても謝りきれない。

…でも、この人が危なくなかったらすぐにドアを開けて謝ればいい。もし危ない人だったら、ただ僕はやるべき事をしただけ。

ドアが開かないようにドアにもたれて押さえつつ、頭をあげる。

「안녕하새요、あの、よろしければどなたか教えてもらえませんか」

「俺？」

「はい」

「いやただ、防弾少年団の私物は高く売れるって聞いたんで、ちょっと貰えればと思って来ただけなんだけど」

「あー、ごめんなさい、あげられないです」

そう言って笑いかけようとした瞬間、ずっと俯いていた男の人がものすごい勢いで頭を上げた。

目はギラギラと異様なほどに光っていて、白目の部分は血走っている。

あーぁ、これは危ないやつだ。ごめんなテヒョン、こいつを無事に追い返せたら謝るからな。

警察に電話する暇はない。

1番タップしやすいところにあるサイレン音の収集アプリを開いて警察車両のサイレンをならそうとしたその時、ゆらゆらと男が僕に近づいてきた。