94line…？ ② (ページ29)

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JN

ゆっくりドアが開いて、隙間に1番近いところに居た僕は思いっきり自分の体をその隙間に押し込んだ。

人より広い肩のせいでなかなか抜けられなくて後ろからはぐいぐいテヒョンに押される。

「もうヒョン、早く出てよ！」

テヒョンと僕の頑張りのおかげで、ぐっとドアの外に顔がでた瞬間頭の中が真っ白になった。

自分の体も頭も自分のものじゃないみたいで、自分の目で見たものを脳が拒否する。

こんなの現実なはずがない。

こんなこと、あっていいはずがない。

「A!!!!」

僕がドアから外に出ると、ドアにもたれかかっていたAの重さでまたドアはばたん、と閉じてしまった。

お腹から、腕から血を流してドアにもたれかかるAは真っ白な顔で、床に広がる血だまりを気に留める余裕もなく僕はAの横に跪いた。

「A…？A!!」

左手に握られているスマホの画面はカトクの僕たちのグループで、打ちかけの文字、

"ごめん、テヒョン。痛かったか…"

に僕が泣きそうになる。

自分がこんなことになってまでテヒョンの心配か!?

「もしもし、ナムジュン？危ないからもうドアは押すな。あとすぐに救急車を。わかったか！」

「ど、どうしたんですか、ヒョン」

「いいから！早く救急車を！」

「は、はい！」

揺れ続けていたドアの揺れは止んで、マネヒョンに繋がらない電話をかけ続けているうちに、救急車のサイレンの音が聞こえてきた。

握りしめていたAの手のひらはピクリとも動かず、だんだん冷たくなっているようで、いつの間にか流れていた自分の涙がものすごく熱く感じた。