94line…？ ② (ページ8)

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誰も起きてないリビングに音を立てないように忍び足で入って、7人分の朝ごはんを作って家を出る。

持っていくのはリュックサックひとつだけ。

脱ぎ散らかしてあるテヒョンのスニーカーを綺麗に並べて、

「いってきまーす…」

返事の聞こえない、まだ真っ暗な宿舎に背を向けて、僕は1ヶ月ぶりに日本へ旅立った。

.

韓国の大学に編入させてもらって2年目。毎日はもちろん無理だけど留年しないだけの単位を取りつつ頑張って大学生してきたけど日本の大学には挨拶もほとんどないまま。

いや多分大学の友達はあいつ留学何年って言ってたかなぁくらいにしか思ってないと思う。むしろ忘れられてないことを願う。

兄ちゃんは僕のこと知っててくれてる人もいるって言ってたけどまぁ一部だろうし。

遠いようで近い日本は飛行機に乗ったと思ったらすぐ着く。

変装もする必要あるかなぁとは思うけど少し前にナムジュナが変装ほぼなしで出かけてプチパニック引き起こしたことがあったからそれに学んで最低限の変装はして行く。

飛行機を降りるともう日は登っていて、落としていたスマホの電源をつけるとありえないくらいの振動。

なかなか鳴り止まない中流れるようにハングルが現れては去ってゆく。

……マネヒョンにしか言ってなかったのはまずかったかなぁ…。

【ヒョンどこ!?】

【A僕らのこと嫌いになっちゃったの!?】

【ヒョン！昨日僕に遊びに行こうって言ってくれたじゃん！いなくなっちゃったの？】

【僕には勉強教えてくれるって言いました】

【僕も！ダンス一緒に踊ろうって言ってくれました！】

【どこいったのさA～】

【Aヒョンのお菓子食べちゃいますから！】

【えっ、ジミナ俺も食べたい】

【マネヒョンに連絡しよう！】

【待って話し中なんだけど！】

【ナムジュナが部屋でマネヒョンと電話してる】

【ヒョン！】

…いやそれカトクする必要あるか？グループでわざわざ入力する必要あるのか？…家一緒じゃん、喋れよ。