三話 ページ5
予想以上にたくさんの方に見ていただき、すごく嬉しいです。早くもストックが尽きそうですが、がんばります！
◇◇◇
生徒たちの間に、驚きと衝撃が走った。
そして、一瞬のうちに運動場γは騒がしくなった。
「おい、静かにしろ。今回の戦闘訓練は“敵グループの確保”だが、次回は“単独敵の確保”だ。敵は組織化しているというが、まだ全ての敵が組織化しているわけではない。というわけで、実際に敵だった少女の提案を受け入れることとなった……というわけだ」
相澤の言葉に疑問を持ち、片腕を天高く、まっすぐと上げたのは、A組委員長の飯田天哉だ。
「先生！ 提案をしたのは、葉中さんの方なのでしょうか！」
「ああ。とある情報と引き換えだったからな。受け入れれば一石二鳥だった」
「だからと言って、俺たちに敵を会わせてもいいんでしょうか？」
「生徒を傷つけない仕組みがきちんと組まれている。それを考えたのは葉中だ、その意味が分かるだろ。万が一の保険もこちらからかけたから、心配はしなくていい」
そう淡々と話す相澤に、質問を抱いたのは飯田だけではなかった。
なるほど、と納得している飯田を横目に、B組委員長の拳藤一佳が疑問をつぶやく。
「でも、彼女が私たちを絶対に傷つけないという保証はどこに……？」
「言ったろ。生徒を傷つけない仕組みがあるって。細かいことはおいおい話す。ほら、さっさと準備しろ、時間はないぞ」
その相澤の言葉に、ほっとしたのかどうかは分からないが、生徒は準備を再び始めた。
その生徒たちをかき分け、ずんずんと前に出る生徒が一人、いた。
「おい爆豪、やめとけって」
「あぁ”!?俺がなにしようが俺の勝手だろうが！」
「その子刺激してどうすんだよ！受刑者だろ、なにするか分かんねぇぞ！」
「相手は俺らのことを攻撃しねえ。それに、俺も受刑者を爆破するほどアホじゃねえ。問題はなに一つとしてないだろ」
「……っ、お前なぁ……！」
「攻撃しないイコール、精神にダメージを与えない、ってわけじゃないだろ……」
呆れる生徒を置いた爆豪……と呼ばれた少年は、Aの前に来ると、止まった。そして、Aを見下ろし、その瞳をのぞきこんだ。
爆豪が想定外の行動に出たため、ブラドキングは目を見開いたまま動かず、相澤は深い深いため息をついた。
その間、Aは微動だにせず、なにも感情が浮かばない目で爆豪を見返していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
