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無力さと涙 ページ35

『仕方なかったの!!
アタシだって人を襲いたくなかった
でもお腹が空いて仕方なくて…
初めてなのよ!!
もうしないわ!
大人しくするわ!!だからギャ』

「…えぇ,
貴方の言い分は分かったわ…
…赦されたいなら耐えて…」

刀身に塗られた毒が傷口から蝕んでいく。

普段,窮地から抜け出す為にのみ,毒を使う。

だけど,今回も選別の時のように,

じんわりと湧き出した怒りが

抑えきれなかった。

『ヒューハッはっ…ぜェ…』

「この毒に…ね?」

納刀すると段々と息を荒くしていく鬼は,
毒の影響でドロリと溶けて逝った。

…もう此毒は使えない。之も失敗作。

急いで襲われた人の元へ駆け寄る。

少女「あ…うぅ…」

酷い傷…これでは,もう…

少女「けて…助けて。」

「…もう,大丈夫ですよ」

伸ばされた手を取り
そう言うと少女は言葉を続ける。

少女「妹を…助けて…お願いします。
襲われた時…
走って路地に隠れてなって言ったんです
未だ,五つなの,早く,迎えに行かなきゃ…
お願い,お願いします。
私は…大丈夫。妹を…あの子を…」

私が悲鳴を聞いて駆けつけた時には,
路地裏の少女は,息絶えていた。
確か…赤い着物と黄色い帯の女の子…。

「…大丈夫。赤い着物と黄色い帯の子よね。
お利口さんに隠れていたわ。
今私の仲間が安全な所へ」

咄嗟に私は,嘘をついた。

死に近い彼女の手を握り笑いかける。



少女「よ,かった…。」

掠れた声でそう言って彼女は笑う。
脈が…止まった。

伸ばされた手は力なく落ちていく…。

「お姉さんが守ったのよ,頑張ったね。…
さぁ…妹さんの所へ,
きっと貴方を待ってる…
お姉さんを…大好きなお姉さんを…
其処では,きっともう…
絶対に,怖い事も,痛い事も,ありません…。
…ごめんなさい。」

間に合わなかった…。

助けられたのかもしれないのに…

無力さに,無意識に,頬に水が伝う。

隠「…継語様。後は我々にお任せを…」

「…ごめんなさい。後はお願いします。」

隠「御意」

其れが,降り出した雨なのか,分からない儘。

隠が来る迄呆然としていた。

其れでも未だ巡回がある。

手早く済ませる為に隠の手伝いをし,

土砂降りの中巡回へ戻った


「…船は出せそうに無いようですね」

船乗り「えぇ雨で川が増水してこればかりは…」

鴉(継語)「アネジャ,近クニ藤ノ花家紋ノ家ガアル
雨ガ落チ着ク迄屋根ヲ借リヨウゾ。」

「そうね。」

私は,遮那を連れ藤の花の家紋の家へ向った

既視感ある隊士。→←閑話_Take care of (キメツ学園)



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作者名:あいぞめ | 作成日時:2019年12月19日 23時

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