閑話_Addiction(キメツ学園) ページ29
｢冨岡先生，Aです。
会議室の内線電話をお借りしてます。
絶対に見過ごせない件です…はい。
えぇ____校則違反です。
校内において，著しく他人に
迷惑を掛ける行為をしてはならない。
他者の心身を害してはならない。
____この校則に違反する
生徒と教師がいるみたいで
宇隨天元先生，竈門炭治郎，
我妻善逸，嘴平伊之助くんの4名です
彼等は音楽室だと思います。はい。｣
Aは一頻り説明し受話器を戻すと一息つく。
誰もが之で全て上手くいくと思っていた
………筈だった。
________それから1時間後
冨岡は無言で会議室に来た。
アオイ｢あっ…冨岡先生，ど____｣
アオイの言葉が其処で止まったのは，
冨岡の頬に
大粒の泪が伝って居るのに気付いたからだ
生徒達から血も涙もないと噂される冨岡。
当然周囲の空気も硬直する。
｢(何事！？)｣
流石のAも取り乱す程
驚いた顔で駆け寄った。
｢どうしたんですか？冨岡先生…？｣
伝う涙をハンカチで拭いながら
Aはｵﾛｵﾛとしながら眉を下げ優しく尋ねる
冨岡｢…した｣
｢宇隨先生と喧嘩したの？
それで泣いちゃったのですか？｣
冨岡｢__感動した。｣
『は？』
文化祭実行委員役員達の声は揃い
思いもよらない一言に一同は眉を顰めた。
胡蝶｢えーっとすいません。
よく聞こえませんでした…
一体何にですか？｣
冨岡｢…あれ程心に染みる歌詞を
俺は生まれて初めて聞いた｣
冨岡は其れだけ言うと
曲の余韻を噛み締める様に
瞑目し，再び熱い涙を流した。
其の姿にAは色々な意味で頭を抱えた
近隣住民への防音対策として
必要以上に締め切られた体育館内。
ステージでは件のバンドの殺人兵器級の演奏が
今正に繰り広げられている。
アオイ｢千寿郎君！担架急いで！｣
千寿郎｢はい！｣
カナヲ｢救護テント，いっぱいです！｣
｢体育倉庫中の物をずらしたので其方を！｣
耳栓を付けて救護活動に実行委員が奔走する中
其れを嘲笑うように人が倒れる音
文化祭は地獄と化した。
カナヲ｢氷，足りません!!｣
アオイ｢洗面器，急いで！｣
千寿郎｢胡蝶先輩，この方が白目剥いて譫言を!!｣
胡蝶｢今行きます!!｣
アオイ｢空調，もっと下げられますか？！｣
｢すいません。もうこれが限界です!｣
緊迫した声を爆音が搔き消していく。
そんな中
冨岡は1人感激の涙を流していたのだった
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作者名：あいぞめ | 作成日時：2019年12月19日 23時
