バレてますよ及川先輩【HQ】

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「気をつけてね〜」


『はい、お疲れ様でした』



いつも通り分かれ道で手を振る及川先輩
今日少しだけ気分がいいから
振り返してみよう




『…ばいばい』



及川先輩に聞こえない声で小さく言い、手を振ると




｢…！｣




嬉しそうにこちら見て大きな手をブンブン回して振り返してくる





『ははっ』





やっぱり見てて飽きない人

＊ ＊ ＊





『おはようございます…』


「「おはよー」」



次の日、朝練


朝はとても苦手
頭も回らないし体も動かない
イライラしちゃう




「Aちゃんおはよ！はい、これ」


『ありがとうございます…っ』




そんな私に及川先輩は1年前くらいから
1粒のチョコレートをくれる



このチョコで気分が上がるなんて言わないでおこう




「がんばろー！」


「及川うるさい」


「岩ちゃんなんてべーっだ！」


「…痛いっ！！」




相変わらず岩泉先輩にちょっかいをかけて
ボールをぶつけられる及川先輩




『…いいな』




少しだけ羨ましい




「なーにがいいのかな〜？」


『げっ』


「なに、"げっ"って！」


『いえ何も』



花巻先輩にからまわれてしまった
もう遅い



「そーんな冷徹なAちゃんに朗報でーす。」


『なんですか…』



そんなウザイ言い方をされても…



「及川が朝、告られてた」


『へー』


「反応薄っ！」



朝練の前に来てわざわざ告ったのか
残念だったね

及川先輩は振ったと思うから
でも確証はない




『それで、及川先輩は振ったんですよね？』


「さー？」



歯切れの悪い答えが返ってきた
え、なんだこの先輩は！



｢気になるなら本人に聞きなよ｣


『無理です。こういった話しないので』


「でも気になるんでしょー？」




ぐうの音も出ない
気になる



気になってしまえば、それはもう聞くしかないのだ



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